ビール原料に放尿する従業員、動画は世界中に拡散した
大切な商品に向かって放尿する従業員の信じがたい姿が、中国の監視カメラに収められた。汚染された商品は、1日の労働に疲れた国民の喉を潤すはずの、ビールだった。
不祥事が発覚したのは、中国第二のビールメーカーである「青島ビール」だ。従業員がビールの原料タンクに小便をする様子が撮影され、動画がネット上に拡散。当局の調査を受ける事態となった。
動画の内容は衝撃的だ。制服を着てヘルメットをかぶった作業員が、高い壁を乗り越えてタンクに入り、原料の容器内に向かって小便をする様子が映し出されている。事件は国際的な関心を呼び、英BBCなどが報じた。
香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙によると、青島ビールは、「現在、問題の麦芽ロットは完全に封鎖されています。社は引き続き管理手順を強化し、製品の品質を確保して参ります」と述べ、問題の発生を認めた。
学食の食事からネズミの頭がゴロリ
青島ビールに厳しい批判が寄せられる一方で、不祥事の発生は中国として初めてではない。国内では食品安全に関する問題が再三混乱を巻き起こしてきた。
今年6月には、専門学校の給食からネズミの頭が発見されている。米CNNの報道によると江西省にある専門学校の学生が、学生食堂の料理からネズミの頭を見つけたとソーシャルメディア上で主張した。これが急速に拡散し、大きな問題に発展している。
学校側は当初、見つかった物体は「カモの首」であるとの虚偽の説明を行った。その後、地方政府がこの問題の調査に乗り出し、実はネズミの頭であったと結論付けた。
食堂には事業許可取り消しの制裁が下され、運営会社には食品衛生法に基づく最大限の罰則が科された。さらに、学校と市場監視局の役員にも罰が科せられる事態に発展している。
CNNは「この騒動はまた、ネガティブなニュースを隠蔽しようとする試みがしばしば裏目に出てきた中国の地方政府に対して、国民の深い不信感を露呈した」と指摘する。
わずか4カ月でまた起きたネズミ事件
ネズミ騒動は続く。今年10月には別の学校の給食からもネズミの頭が発見された。国営英字日刊紙のグローバル・タイムズが報じている。
記事によると北中国科技大学の学生がソーシャルメディア上で、学生食堂の食事からネズミの頭を見つけたと発言した。食事に混入していた異物の写真を投稿し、「ネズミの頭」だと断言している。投稿は拡散され、学校内外に広く食の安全への懸念を巻き起こした。
投稿を拡散した別のユーザーは、「見てください。口、毛、ひげが確認できます」とコメント付きで件の写真を学校のコミュニティ掲示板に再投稿している。
大学側は食堂の業者との契約を解除した。事件後しばらく大学では、一部のフードスタンドのみが営業を続ける形となった。繰り返す学校での食の不祥事に、信頼回復と改善の難しさが浮き彫りになっている。
カビたパンに腐敗したゲソ…「まるでゾンビ肉」
中国の学校では、以前にも食の安全性に懸念が寄せられていた。2019年には名門・成都第七実験高校で発生しており、問題の根の深さを物語っている。
英BBCが写真入りで報じたところによると、同校ではカビの生えたパンや腐ったゲソなど多数の食材が劣悪な衛生環境で保管されていた。
植樹祭に参加した親たちが2019年3月11日、食堂に誤って迷い込んだところ、パンや肉、そして魚介類など、大量の腐った食材を見つけたという。親たちはすぐさまソーシャルメディアにその様子を投稿し、批判を受けた学校側は2台のトラックを手配し腐った食品を運び出す騒ぎとなった。
事件後、学校は謝罪し、食材供給業者との契約を解除すると発表している。一方で問題を発見した親たちは、今回の事象が単発の事件ではなく、同じ業者が20以上の学校で、10万人以上の生徒に食材を供給していると指摘している。
腐敗した食材を目にした保護者の一人は、BBCの取材に対し、「臭くて気持ち悪い。豚の糞のようだ」と嫌悪感を露わにした。また、別の保護者は昨年11月にも、多くの生徒が腹痛や便秘などさまざまな体調不良で苦しんだ事件があったと言及している。この保護者は「冷凍庫で何年も保管されたようだ。まるでゾンビ肉だ」とコメントした。
豪公共放送のABCによると本件により、保護者らの怒りが爆発。学校前を埋め尽くすほどの親たちが押し寄せ、閉鎖された校門フェンスを挟んで機動隊と衝突する事態に発展している。当局が学校側に問題はなかったとコメントする一方、衝突事件により数名の親が逮捕され、さらに波紋を広げた。