警察の介入がなければ、捕獲されたネコは屠殺され、豚肉や羊肉の串焼き、ソーセージとして食用にされる可能性が高かった。CNNは、こうした違法ビジネスが「新たな食品安全への不安を引き起こしている」と指摘する。
もともと墓地の近くで、釘の打たれた木箱に閉じ込められた猫が大量に発見され、活動家グループが張り込みを開始したという。屠殺場へ輸送し始めたところでグループが介入し、警察に通報した。
活動家の通報を受けた中国・江蘇省張家港の警察は、猫を運んでいたトラックを止め、計画を阻止した。救出された猫たちは保護され、近くのシェルターに運ばれたという。CNNは現地メディアの情報をもとに、通常、加工後の猫の肉は豚肉や羊肉に偽装され、1ポンド(約450g)あたり約4ドル(約600円)で販売されると報じている。
中国の「食の衛生観念」はまだまだ途上国並み…
中国全土を席巻している食品安全問題は、その深刻さ、広範さから、食の安全への意識の低さを浮き彫りにしている。広大な国土を持つこの国の至るところで、国際的に著名な製造業者から、学校やおそらくは町角の小さな露店に至るまで、食品の衛生問題と安全問題が無視できない問題として潜んでいる。
数々の事例を見るに、この問題はすでに一部の組織の固有の問題ではなく、国全体としての大きな課題とさえ言えよう。
青島ビールは不祥事に関し警察への協力姿勢を打ち出しているが、国内外の消費者から厳しい視線を受けることは避けられない。学校や幼稚園でも不祥事が続出しており、目に見えない場所で行われた作業をまったく信頼できないのが現状だ。
言うまでもなく、食品の衛生は人々の生活と直接関わる問題であり、消費者の健康を直接左右する。幼稚園のトイレでのトレイ洗浄事件や猫肉の偽装未遂事件などは、品質への意識不足を雄弁に物語る実例だ。
途上国を対象とした技術協力や経済援助で国際的なプレゼンスを高める中国だが、国内では食という最も基本的な環境の改善が長年の課題となっており、いまだ解決の糸口を見出せていないようだ。