※本稿は、柳川由美子『不安な自分を救う方法』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
米軍が採用した効果抜群のリラックス法
Q.眠りたいのに、なかなか眠れないときは①……
不安や緊張状態にある方は、「リラックスしましょう」と言ってもなかなか上手にできない場合があります。
そんなときは、あえて力を入れてから抜く「漸進的筋弛緩法」を行うことで、力の抜けたリラックス状態をつくりやすくなります。
漸進的筋弛緩法は、アメリカの医師であるエドモンド・ジェイコブソンによって開発されたリラクゼーションの技法です。米軍が採用したところ、厳しいストレス状況下にある兵士の96%が120秒以内に眠りに落ちたとか。それくらい効果抜群の方法です。
私のクリニックではこれを、椅子に座った状態で、次のように行います。
① 鼻から息を吸って止める。
② 息を止めている間(3~5秒)に、両腕をガッツポーズにして腕の力を入れる。
③ 口から息を吐きながら、腕の力を抜いてダラーンと落とす。このときどんな感じがするのか、力が抜けた腕の感覚に意識を向ける。
④ ①~③を3回繰り返す。
これが基本です。
実際に声に出して言うと、さらに効果的
この後、両脚→顔→肩→首の順に、同じように呼吸を合わせながら、力を入れて抜くことを繰り返します(各3回)。
・両脚……椅子に座った状態で膝を伸ばし、床と平行になるまで両脚を上げる。踵を直角にしてつま先をピンと伸ばしてから→ダラーンと両足を床に落とす。
・顔………目をつぶって歯を噛み締めてから→力を抜いてポカーンと口を開く。
・肩………グッと上げてから→ストーンと落とす。
・首………首の重さを感じながらゆっくり回す。
ここまでやっていただくと、相談者さんたちは「眠くなった」「とても落ち着いた」と口々におっしゃいます。実際にあくびをなさる方もとっても多いです。
これだけでも十分にリラックスして心地よいだるさを感じられるようになりますが、私の場合は、夜寝る前に漸進的筋弛緩法を行った後、布団に入って、さらにリラクゼーションの呼吸法を行っています。
① 鼻から息を吸い込みます。空気の流れを意識して、その冷たさを感じます。
② 口から息を吐きます。吐く息のあたたかさを意識しながら、吐く息とともに全身の力が抜けていくのを意識します。のどを通る空気の感覚なども意識します。
③ ①~②を3回繰り返します。呼吸の最中は「何か思考が浮かんでも、それを追わない」と決めて、何か浮かびそうになったら常に呼吸に意識を戻します。
このままスーッと眠れるので、ぜひ試してみてください。
身体がゆるむと、心もゆるみます。
ですから、気持ちが張り詰めて眠れないときは、先に身体をゆるめてあげましょう。
身体がゆるんで、気持ちがほぐれてきたら、「気持ちが落ち着いてきた」「のんびり~」などと実際に声に出して言うと、さらに効果的です。
A.漸進的弛緩法で、手足の力を入れたり抜いたり。