人生でいちばん悔いが残ること
また、「生き残る種とはもっとも強いものではない。もっとも知的なものでもない。それは変化にもっともよく適応したものである」とは、種の形成理論を唱えたイギリスの自然科学者、チャールズ・ダーウィンの言葉である。
そして、「あなたが何かを成し遂げたいのならば、必ず手段を見いだせる」と倉本長治は言う。「あなた自身の幸せは、それを成し遂げる過程にある」と。
店主とともに滅びる――それはまた、経営者がロマン、勇気、挑戦心、忍耐、そして変化対応力を失うことを戒めている。「人生でいちばん悔いが残るのは、挑戦しなかったこと」という柳井会長の言葉は、彼が誰よりも「店主とともに滅びる」ことの恐ろしさを自覚していることを示している。
店は客のためにあり
店員とともに栄え
店主とともに滅びる
倉本長治の遺した、この純度の高い結晶のような言葉こそ、地方商店街の小さな紳士服店が世界企業に成長していく上で欠かせない羅針盤となった。拙書の解説で「この淡々とした言葉の中にこそ、商いの真理があります」と綴っていることがそれを物語っている。