英語を効率よく習得するにはどうすればいいのか。立教大学異文化コミュニケーション学部の中田達也教授は「あなたが英語でやりたいことに応じて、学習方法は変わる。リスニング力を伸ばしたいならリスニング学習、スピーキング力を伸ばしたいならスピーキング学習がいい。転移適切性処理説によれば、英語の聞き流しをいくらやっても、スピーキングの上達はほとんど望めない」という――。
※本稿は、中田達也『最新の第二言語習得研究に基づく 究極の英語学習法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
コミュニケーション偏重の英語教育は正しいか
英語学習法には様々なものがありますが、「意味重視の学習」(meaning-focused learning)と「言語重視の学習」(language-focused learning)の2つに大きく分けられます。
意味重視の学習とは、英語の本を読んだり、英会話をしたり、洋画を観たりして、文脈から自然に英語を習得することを指します。一方で、言語重視の学習とは、単語集で英単語を暗記したり、文法書で英文法を学んだりして、英語自体について意識的に学ぶ活動です。意味重視の学習では、英語を使ってどのようなメッセージが伝達されるかという意味内容に焦点があるのに対して、言語重視の学習では英語そのもの(単語や文法)に焦点があります。
口頭コミュニケーションを重視する近年の英語教育では、言語重視の学習は「機械的で役に立たない」と軽視され、意味重視学習が奨励されることが多いようです。しかし、言語重視の学習は本当に役に立たないのでしょうか?