意味重視学習の利点・欠点は、言語重視学習の裏返しです。つまり、意味重視学習を通して習得された知識は実際のコミュニケーションで使用しやすいという利点がある一方で、習得に時間がかかり効率が悪いという欠点があります。
意味重視学習と言語重視学習はそれぞれ一長一短であるため、両者を組み合わせることが理想的です。例えば、単語集で学習したことがある単語に、読書をしている際に出会うことで、その単語を実際にどのように使えば良いか、理解を深められます。これは、言語重視学習(単語集による学習)の欠点を、意味重視学習(読書)により補っているといえます。
同様に、読書中に出てきた文法事項を参考書で調べ、ドリルで練習することで、記憶への定着度が高まるでしょう。これは、意味重視学習(読書)の欠点を、言語重視学習(参考書・ドリル)で補っているといえます。
文法もコミュニケーションもどちらも大切
英語学習に関しては、「文法や単語の学習ばかりしているから、日本人は英語ができるようにならない。コミュニケーションを通して自然に英語を習得すべきだ」という意見があるかと思えば、「中学・高校でコミュニケーションを重視して文法や単語をおろそかにするから、日本人の英語力はどんどん落ちている。文法や単語をきちんと学習して、基礎固めをすることが必要だ」と主張する人もいます。まったく逆のことを言っていて議論がかみ合っていない印象を受けますが、言語重視学習と意味重視学習の両方が欠かせないという点では、実はどちらの主張にも一理あるといえます。
英語を学習する上では、言語重視学習と意味重視学習それぞれの特徴を理解した上で、両者をバランスよく組み合わせましょう。
「聞き流すだけで英語が話せる」は専門的には怪しい
「自然に英語を身につける」といえば、「聞き流すだけで英語が話せる」ことを宣伝文句にした英語教材が、以前流行していました。某有名プロゴルファーを広告に起用していたため、記憶にある方も多いかもしれません(この教材は2021年に販売を終了し、現在はAmazonのAudibleで聴くことができます)。
この教材に限らず、「聞き流すだけで英語が話せる」という主張をたまに耳にしますが、これは本当でしょうか? これまでの研究によると、「聞き流すだけで英語が話せる」という主張は怪しいと言わざるをえません。