歴代首相や大統領が謝罪を繰り返してきた

それだけではありません。歴代の首相や大統領も謝罪を繰り返してきました。

たとえば1970年、当時の西ドイツのウィリー・ブラント首相は、ポーランドに建てられたユダヤ人の慰霊碑を訪れ、ひざまずいて祈りを捧げました。この映像が世界に流れ、「ドイツの謝罪」として世界の人々の記憶に刻まれました。

また1985年5月8日、ドイツの無条件降伏から40周年の日にリヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカー大統領はドイツ連邦議会で演説しました。その一部を紹介しましょう(『荒れ野の40年』)。

「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」

「目を閉ざさず、耳を塞がずにいた人びと、調べる気のある人たちなら、(ユダヤ人を強制的に)移送する列車に気づかないはずはありませんでした。人びとの想像力は、ユダヤ人絶滅の方法と規模には思い及ばなかったかもしれません。

しかし、犯罪そのものに加え、余りにも多くの人たちが実際に起こっていたことを知らないでおこうと努めていたのが現実であります。当時まだ幼く、ことの計画・実施に加わっていなかった私の世代も例外ではありません。(中略)

問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。」

「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」。この言葉は歴史に残ります。

さらに2019年、第二次世界大戦のきっかけとなったナチス・ドイツによるポーランド侵攻から80年を迎えた9月1日、ポーランドで行われた式典にドイツのシュタインマイヤー大統領が参列。ポーランド語で「過去の罪の許しを請う。われわれドイツ人がポーランドに与えた傷は忘れない」と述べて謝罪しました。