最も過酷な労働環境に晒されてきたドライバー

「荷物の3割が運べなくなる」と試算されている「2024年問題」の発生まで残り半年を切った。きっかけは、2024年4月1日から「自動車運転業務」の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されること。長時間労働が慢性化しているトラックドライバーなどが、労働時間の短縮を余儀なくされる。そうでなくてもドライバー不足に悩んでいる運輸・物流業界にとって、死活問題になるのではないかと見られている。果たして、この「難局」を物流企業だけでなく、社会全体としてどう乗り越えていくか。

コンテナ埠頭や貨物ターミナルが集まる地区を走るトラック=2023年7月25日、東京都品川区
写真=時事通信フォト
コンテナ埠頭や貨物ターミナルが集まる地区を走るトラック=2023年7月25日、東京都品川区

トラックドライバーが最も過酷な労働環境に晒されてきたことは統計にはっきりと表れている。「過労死等の労災補償状況」という厚生労働省の統計によると、2022年度に「脳・心臓疾患」で労災が支給決定された業種で最も多かったのが「道路貨物運送業」の50件。2位の「総合建設業」の18件を大きく上回り、最も人数が多い業種だった。50件のうち、19件が死亡している。