国内で深刻な木材不足が続いている。調達・購買コンサルタントの坂口孝則さんは「米国で起きたウッドショックの影響だが、それだけではない。そもそも海外の製材メーカーが日本向けの輸出を嫌がるようになったという背景がある」という――。(第1回)
※本稿は、坂口孝則『買い負ける日本』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
材料が手に入らずマイホームが建たない
「そんなに遅れるの?」
キッチン用品の展示場では来店するお客から、そのような感想が多数寄せられたという。2020年から2022年にかけて、システムキッチンを展示しているのに、売れても納品ができない。給湯器等も仕入れられない。納期が遅延する前提で売らなければならない。建設資材ではほぼすべてが影響を受けた。
コンクリート、キッチン、および給湯器などキッチン備品、アルミサッシ、壁のクロス、その他、センサー付きの照明器具、トイレ設備、換気扇、コンロ、IHヒーター……。建設資材は価格が全面的に上がり、工期に影響した。
この時期に住宅を建てた人を失望させた。基礎工事が止まる、材料が届かないといわれ別場所での仮住まいを長引かせることになった。挙句の果てには、見積もり費用が異常に膨らんだ。「ふざけるな」と怒りをぶつけても、現場の担当者にとってもどうしようもない。木材が手に入らないのだ。
なかにはマイホームを夢見ていたのに、着工後に部屋数を減らすように勧告された購入者もいる。間取りを変更しなければ当初予算のままでは建てられなかったのだ。苦しんだのは住宅関連産業だけではなく、他の産業も同様だった。楽器メーカーがギターの生産に影響が出るとした。