TOPIC-5 40代、「成果」か「再スタート」か
最後に扱うのは40代論です。大塚寿さんと川北義則さんのような仕事に軸足を置いた著作では、40代は「収穫期」(大塚40、22p)、「人生の充実期」(川北40、1p)として、これまでのキャリアが集大成される時期だと語られています。地位としても中間管理職になっていることが想定され、社内の上と下、あるいは顧客へのコミュニケーション能力がより重要視されています。具体的には、伝える力、人を動かす力、質問力、上司としての振る舞い、女性社員とのうまい付き合い方などが論じられています。
またこうした著作では、40代は充実期でもあるが、これでよいのだと安心することなく、さらに研鑚を積もうとされます。
「40代は、順調にきた人と、そうでない人との差が広がりはじめる時期に当たる。(中略)この時点で安心するのもあきらめるのも早すぎる。兎であれ、亀であれ、あらゆる点でまだ伸び代(しろ)は残っている。1ランクも、2ランクも上を目指せる」(川北40、15p)
「40代が大きな『分かれ道』を迎えたとき、ほとんどの人は『守り』に入ってしまいます。それまで果敢に挑戦してきた人も、なぜか40代という成熟年齢になったとたん、『つまらない人』になっているのです」(大塚40、18-9p)
「20代、30代までは成果を積み上げることを目的とした直線型の生き方だといえますが、40代はその成果をどう活かすかという、それまでとはまったく違う発想が求められてくるのです」(大塚40、21p)
まだまだ守りに入ってはいけない、一定の地位を得て自分の裁量が増した今こそ、より上を目指し、より大きな成果を上げていくために気持ちを切り替えねばならない、というわけです。「40代というのは、ビジネスパーソンの存在価値を考える最後のチャンスなのです」(大塚40、99p)という言及もあるように、40代は、30代とはまた別の「ラストチャンス」だというのです。
というより、「年代本」はつねに「今がラストチャンスだ」と述べています。バーゲンセールの売り口上のように、それぞれの「季節の商品」について、今しかない、今買わないともう買えませんよと言うわけです。時折、「40代は敗者復活のチャンス」(大塚40、26-7p)というように、抜け道が用意されている場合もあります。しかしいずれにせよ、身も蓋もないことを言えば、「年代本」が述べているのは、人生常に頑張れ、ということなのです。