思春期の子供にはどんな声をかければいいのか。文教大学教育学部の成田奈緒子教授と公認心理師の上岡勇二さんの共著『その「一言」が子どもの脳をダメにする』(SB新書)から、スマホをめぐる声かけのポイントを紹介する――。
LINEの否定が親子の溝を作り出す
友達とのLINEが楽しい マユ(中1)
家に帰ってきてから、暇があればLINEをしているマユ。夕食の後、みんなでテレビを見るのが家族のルーティンなのですが、そのときも頻繁にLINEをするようになりました。
それを快く思っていないのが父親。マユがスマホを触り始めると、「いつまでLINEなんかやっているんだ!」と必ずやめさせます。
最近、夕食の後にマユは自分の部屋にこもるようになってしまいました。部屋にこもって、友達とLINEをしています。いつしか、家族揃ってテレビを見る時間はなくなってしまいました。
家に帰ってきてから、暇があればLINEをしているマユ。夕食の後、みんなでテレビを見るのが家族のルーティンなのですが、そのときも頻繁にLINEをするようになりました。
それを快く思っていないのが父親。マユがスマホを触り始めると、「いつまでLINEなんかやっているんだ!」と必ずやめさせます。
最近、夕食の後にマユは自分の部屋にこもるようになってしまいました。部屋にこもって、友達とLINEをしています。いつしか、家族揃ってテレビを見る時間はなくなってしまいました。
「いつまでLINEなんかやっているんだ!」――この「なんか」は、子どもの価値観を「くだらないもの」として否定する言葉です。
このような親のコミュニケーションは、「お前はダメな人間だ」というメッセージを伝えているのと一緒で、脳育ての観点からはNGです。こうして否定され、不安が高まると、マユのように自分の部屋にこもりがちになり、親子団らんの時間が失われることにもつながる場合があります。
「誰とLINEしてるの?」と聞いて会話の糸口を作る
これからも新しいデジタルメディアはどんどん登場するでしょう。そして、その評価は目まぐるしく変わります。「新しいものは、よくわからないもの」と受け取られやすく、警戒されがちです。
マユの父親は、自分の慣れ親しんできたものとは異なる「新しいもの」に接したため、頭ごなしに否定から入ってしまったのでしょう。大切なのは、親自身が「自分は新しい文化を評価できるほど確かな目を持っているわけではない」と、しっかり自覚することです。
LINEは、今や多くの人にとって欠かせないメッセージアプリです。使い方さえ誤らなければ、私たちの生活をより便利に、快適にしてくれるものです。
「LINEなんか」と見下して切り捨てるのではなく、「誰とLINEしてるの?」と聞いてみましょう。「学校の友達だよ」などといった答えが返ってくるはずです。こうした何気ない一言が、親子のコミュニケーションの糸口になります。