厚底シューズを使いこなすために必要なトレーニング
厚底シューズ特有の反発性の高さを生かすためには、それに対応した体づくりが求められます。
シューズ自体が備えている機能が少なく、ランナーの動きを邪魔しないことを目的としていた薄底シューズに比べると、多少なりともシューズに合わせる必要が出てくるからです。
厚底シューズのブレを抑制し、しっかりと反発をもらうために重要となるのが、大腿四頭筋と臀筋群です。前足部で着地する際に、グッと乗り込みながら、安定した足運びをするのに、大腿四頭筋と臀筋群の筋力が欠かせないのです。
厚底シューズが登場したばかりのころ、比較的体の大きな選手が素早くアジャストしていたイメージがあるという人もいるのではないでしょうか。また、アスリートレベルでも、女性より男性のほうが使いこなすまでに時間がかからなかったのは、すでに十分な筋力があったからではないかと思います。厚底シューズをうまく使いこなすためには、下肢の筋力トレーニングは不可欠といえるでしょう。
トレーニング方法を誤ると厚底シューズの恩恵を得られない
体幹部の安定が必要なことは、薄底シューズであろうが厚底シューズであろうが変わりません。ただ、厚底シューズでは足と地面との距離が離れ、不安定な局面が増えるぶん、さらに重要度は増しているといえるかもしれません。
『青トレ青学駅伝チームのコアトレーニング&ストレッチ』でも書きましたが、長距離ランナーにとって、コアの安定、とくにインナーユニットの強化が大切であることは変わりません。
コアがつぶれてしまうと、厚底シューズの恩恵を十分に得られませんし、股関節や膝への負担が大きくなります。
腹部をコルセットのように包む腹横筋、背中側に位置する多裂筋、横隔膜、骨盤底筋群で構成されるインナーユニットの強化は、引き続き行っていく必要があるのです。
厚底シューズを履きこなすためには、当然、それなりの距離を厚底シューズで走り、自分のフォームと厚底シューズを適応させていく必要があります。下肢のトレーニング、インナーユニットのトレーニングと並行していくことになりますが、ケアの方法も調整する必要があるでしょう。大臀筋、中臀筋、大腿四頭筋については、とくに負担が増えるので、いままで以上に入念にケアをするべきです。
厚底シューズで練習を積んでいると、薄底シューズを履いていたときにはなかった部位に違和感をもつこともあると思います。
自分の体の声に耳を傾け、しっかりとケアをして、ランニングライフを楽しみましょう。