箱根駅伝、第100回大会は「関東学生連合」なし

箱根駅伝は来年2024年に第100回大会を迎えることになる。記念大会ということで、出場校は例年の「20」から「23」に拡大。10月14日に行われる予選会には関東地区以外の大学も出場できる。

一方で第100回大会には選抜チームである「関東学生連合」は結成されない。一部の学生や関係者の間では、関東学生陸上競技連盟(関東学連)の学連チームなしの発表までの過程について疑問の声が上がっている。

駅伝出場大学
撮影=プレジデントオンライン編集部

選抜チームの目的は箱根の経験をチームに持ち帰ること

箱根駅伝に「選抜チーム」が登場したのは、それほど昔の話ではない。初登場は第79回大会(2003年)。その目的は「実際の箱根駅伝を経験して、それを各大学に持ち帰り、チームの財産にしてほしい」というものだった。

「関東学連選抜チーム」(当時)は予選会で落選した大学の選手(基本、出走するのは各校1名ずつ)で編成。すごいチームができるのでは? とささやかれていたが、実際はそれほどでもなかった。初年度は16位相当。「日本学連選抜」として参戦した第80回記念大会(2004年)は6位相当まで上がったものの、以後、18位相当、19位相当と伸び悩んだ。

第83回大会(2007年)からはオープン参加ではなく“正式参加”となるも、20位に終わった。選抜チームが最も輝いたのは、第84回大会(2008年)だ。予選会で次点だった青山学院大学の原晋監督が指揮を執り、後にマラソンで大活躍する川内優輝(学習院大)が6区を区間3位と好走。総合4位と大健闘したのだ。翌年も9位に入ったが、その後は下位を低迷することになる。

第90回記念大会(2014年)は結成されず、第91回大会からは「関東学生連合チーム」(以下、連合チーム)という名称で復活した。しかし、またしてもオープン参加扱いとなっただけでなく、「第91回大会以降で本戦出場が1回までの選手(単独校、連合チームを問わず)」というルールができたため、さらに弱体化。第91~99回大会の成績は19位、11位、20位、21位、21位、19位、20位、14位、20位相当だった。

連合チームに選ばれたとしても、本戦を狙える大学にしてみればモチベーションは上がらない。加えてメンバーに入る大学も“常連化”してきて、新鮮味がなくなった。

個人的には、連合チームは5年に一度の記念大会で結成されるくらいでいいのではと感じている。その理由は単純で、駅伝はチームスポーツだからだ。箱根駅伝に出たければ、出場が見込める大学に進学して、勝負していくしかない。

箱根駅伝に出られなくても、インカレなど個人で輝ける舞台は準備されている。どちらを選ぶかは、個人の自由だ。もしくは「出場は1校1名」と「本戦出場が1回までの選手」というルールを撤廃して、もっと夢のあるチームで参加できるようになれば、箱根駅伝の楽しみが増えるはずだ。

一方、チームとして箱根に出場するのが絶望的な大学の選手にとっては、選抜チームの存在意義は大きい。大学卒業後“公務員ランナー”として大活躍した川内優輝は関東学連選抜で2度の箱根出場を経験。他大学の選手との交流が始まり、その後の競技に生きていることもあり、川内はかねて「選抜チームの存続」を強く訴えてきた。

では現役学生ランナーの意見はどうなのか。