セカンドオピニオンにも紹介状は必須

紹介状は、セカンドオピニオンでも必須です。セカンドオピニオンとは、主にがんなどの大きな病気のときに主治医以外の医師の意見を聞くこと。「主治医の判断を疑うようで受けたいとは言いづらい」と思う方もいるでしょう。でも、きちんとした医療を提供している医師は、患者さんがセカンドオピニオンを求めることを歓迎することはあっても嫌がることはありません。なぜなら、それが患者さんが主治医の診断や治療が正しいと確信するための手助けとなるからです。

紹介状なしにセカンドオピニオンを求めて受診しても、主治医の診断や治療方針が正しいかどうかの判断はできません。ずいぶん前の話ですが、「別の病院で膵臓すいぞうがんと診断されて抗がん剤治療をすすめられたが、診断や治療法は本当に正しいのかどうか意見を聞かせてほしい」と受診された患者さんがいらっしゃいました。

詳しくお話をうかがったところ、自覚症状や病状の経過、持参された採血データは膵臓がんに矛盾しませんでした。腹部超音波検査と腹部CTで膵臓がんと診断されたとのことですが、画像データがなく、その診断が正しいかどうかはわかりません。ステージ分類や予定されている抗がん剤治療の内容も知りたいところですが、詳しいことはわかりません。紹介状さえあれば少しは有用なアドバイスができたかもしれませんが、「主治医ともう一度よく話し合ってください」と伝えるぐらいしかできませんでした。

病院の廊下
写真=iStock.com/Ninoon
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医師が提案して紹介状を書くケース

患者さんからの希望があった場合だけではなく、医師のほうから紹介状を書くことを提案することがあります。例えば、より専門性の高い病院で診てもらったほうがいいと判断したときには、かかりつけ医から大学病院などの高次病院宛てに紹介状を書きます。逆に、高次病院で治療がいったん終了して、再びかかりつけ医に戻るときにも、高次病院からかかりつけ医宛てに紹介状を書きます。かかりつけ医と高次病院が情報を共有し連携することで役割分担を行い、より適切な医療を提供することができるのです。

高次病院は専門的な医療を提供する役割を果たしています。以前は「大きな病院で診てもらったほうが安心だから」という理由で、特に専門的な医療を必要としないのに高次病院を受診する患者さんはめずらしくありませんでした。

しかし、そういう患者さんまで高次病院が担うと、専門的な医療を必要とする患者さんへの対応が手薄になります。現在は「選定療養費」といって、紹介状なしで大きな病院を受診すると数千円の追加料金がかかるようになり、気軽にかかりにくくなりました。医学的な理由だけではなく、お金の問題でも紹介状なしで大きな病院にかかるのはやめておいたほうがよいと思います。