ジャニーズ事務所のジャニー喜多川元社長による所属タレントへの性加害は、未成年者にも及んでいた。ノンフィクション作家の本橋信宏さんは「私は元フォーリーブス北公次氏による暴露本『光GENJIへ』(データハウス)のゴーストライターだった。北氏の証言には、小学3年生の男児がジャニー喜多川氏からの性被害を告白する、という内容もあった」という――。

※本稿は、本橋信宏『僕とジャニーズ』(イースト・プレス)の一部を再編集したものです。

「毎晩の求愛」はつづいていた

北公次とジャニー喜多川との特殊な関係はもう4年半になろうとしていた。

テレビ局や地方公演で北公次はジャニー喜多川に喧嘩をふっかけ、当たり散らした。

リハーサルで北公次が踊りをミスしたりすると、ジャニー喜多川が「ばかやろうっ! ちゃんとやれっ!」と大声で叱った。

厳しい師に見えたことだろう。

もっともその後で、廊下などで優しく声をかけてフォローすることを忘れなかった。

様々なアクシデントを乗り越えてきた恋人や夫婦のように。

合宿所は渋谷に移っていたが、毎晩の求愛は依然つづいていた。

「やめてくれっ!」と叫んで枕を抱えて階下に逃げ出していった

ある晩、ファンが大勢集まり帰るそぶりも見せないなか、ジャニー喜多川が部屋にもどってきた。先にベッドのなかで寝ていた北公次に、いつものように迫ってくる。

疲れ切って眠っていた北公次は、熱い息を吐きながらからだをまさぐってくる男にたまらず、「やめてくれっ!」と叫んで枕を抱えて階下に逃げ出していった。

ベッド
写真=iStock.com/whyframestudio
「やめてくれっ!」と叫んで枕を抱えて階下に逃げ出していった(※写真はイメージです)

パジャマ姿の北公次が階段から駆け降りてくるのを見たファンは、嬌声をあげた。

だが北公次が真っ青な顔で涙を流しているのを見ると、何かあったのかと、嬌声もやんだ。

事務所社長のある趣味に気づいているファンもいたので、パジャマ姿の北公次を目撃して感づいたのだろう。