「遊び」vs.「ゲーム」はもう古い

子どものスマホゲームについては、まだまだ以下のような声もあります。

・スマホゲームには多少の良い効果があるかもしれないが、やはり子どもに大事なのは、リアルな遊びだ。
・手足を動かしてこそ、体というものを理解でき、友達と遊んでこそ、社会性を養うことができる。
・ゲームの中でバーチャルと向き合っていたところで、怒りや悲しみなどの感情をコントロールする力は身につかないだろう。
・スマホゲームをするくらいなら、外で元気に遊んでこい。もともと子どもにとってはそれが自然であり、心にも体にも良い。

これらは非常に的を射た指摘です。やはり、勉強の他にも、運動や人との対面のコミュニケーションなど、バランスの取れた生活が子どもだけでなく、大人にも必要です。

また、決められた工程をこなすのではなく、遊びの中で自由に発想したり、想像したりするのも大事な脳のトレーニングになります。

公園で走る子どもたち
写真=iStock.com/monkeybusinessimages
※写真はイメージです

しかし、「遊びが大事だからゲームをやってはいけない」とか「遊びの方がゲームより優れている」ということにはなりません。

なぜなら、ゲームが対面の学習より効果を発揮することがあるように、スマホゲームも、遊びの持つ優れた効果を同等に発揮するからです。

ゲーム内のコミュニケーションで学ぶことがある

例えば、マルチプレーヤーのオンラインゲームでは、他のプレーヤーとの「対話」が大事なゲーム機能の一部になっています。オンラインで友達と一緒にゲームができ、逆にそのやり取りが前提になっているゲームも多いのです。

私が子どもの頃でも、ファミコンで近所の友達と一緒にゲームしながらコントローラーを取り合って喧嘩したり、一緒にプレーして笑ったり、仲間とのやり取りやコミュニケーションの機会がふんだんにありました。

実際、ゲームをやる前よりも、ゲームをやったあとの方が友達が増えたという実感を持つ人が多く、コミュニケーション能力にも、間違いなく活かされているのです。

マルチオンラインゲームだけではなく、ロールプレイングゲームでも、実はいろいろなキャラクターが出てきて、それらのキャラクターとのストーリーの中に入っていかなくてはいけません。

しかも、そのキャラクターの気持ちを汲んでみたり、状況をうまく想像する力がないと、ゲームをその先に進められなくなったりします。バーチャルなキャラクターとの「対話」も、ゲームの重要な要素なのです。

つまり、そうしたゲーム内のコミュニケーションを通して、人の心理状況を素早くうまく理解して、言葉のやり取りができるようなトレーニングができているのです。