エリートが占いに目を向ける理由は「危機感」

大手企業に勤めるビジネスエリートの場合は、「ライバルとの出世競争の行く末」や「社内の派閥争いで、どこの陣営に入ればいいか?」などの生々しい相談が少なくありませんが、最近では、新たな傾向も出始めています。

その背景にあるのは、日本が先行き不透明な時代を迎えていることです。

日本を代表するような有名企業に勤めていても、「このまま今の会社でサラリーマンを続けることに危機感を感じる」という人が増えています。

「将来的には海外に移住したい。この先、10年くらいの流れを知って、タイミングを見計らいたい」(商社・30代男性)

この男性の関心は、現在の仕事よりも将来の生活設計に向けられており、「自分は海外に縁のある星を持っているのか?」、「海外移住という考え方は間違っていないか?」など、占いを参考にして、日本脱出のチャンスを狙っています。

この他にも、「副業が好調なので、どこにいても仕事ができる流れを作ってから会社を辞めたい」(ゼネコン・40代男性)と考えて、5年後や10年後のキャリアプランを練っている人や、「投資を始めようと思っている。自分が投資に向いているのか、占ってほしい」(電子機器・30代女性)という人もいます。

最近では、日本経済の長期低迷を反映しているのでしょうが、男女を問わず、「投資」に関連した相談が増える傾向にあります。

終身雇用が当たり前とされ、年功序列によって給料が増えていた時代には、会社の中で「いかに生き残るか?」が一番の関心事でしたが、時代の多様化が進んだことで、「会社に執着する」という意識は少しずつ薄れているようです。

それは一流企業に勤めるビジネスエリートであっても例外ではなく、「今の会社にいることが、最良の選択なのか?」と現状に不安を感じている人も少なくありません。

「自分の新たな可能性を見つけたい」

こうした思いの高まりが、彼らの目を占いに向かわせているように感じています。

仕事を変えるか続けるか、どちらかを選ぶイメージ
写真=iStock.com/takasuu
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「泣き面に蜂」でも相談できる相手は意外といない

仕事ができる優秀な人であれば、自分の身の回りで起こる問題に対して、まずは「自力」で解決しようと考えるのが普通でしょうが、必ずしもそれができない場合があるようです。

一つは、さまざまな問題が「複合的」に折り重なってしまうケースです。

職場の人間関係に悩んでいるにも関わらず、ご本人や家族の病気が発覚したり、降格トラブルに直面しているときに、仕事のパートナーやチームのメンバーとの間で深刻な揉め事が起こるなど、問題が二重、三重に続発することは日常的に起こります。

まるで「泣き面に蜂」のような状態になっても、それを率直に相談できるような相手というのは意外といないものです。

ビジネスエリートに限らず、日ごろから占いを意識したことのない男性が、私のところに相談にやってくるのは、こうした問題が山積している場合が多いようです。

男性が既婚者であれば、占い好きな奥様がご主人の様子を心配して、「夫が抱えている問題を占ってほしい」と依頼されることも少なくありません。

奥様が家に帰って鑑定内容をご主人に伝えたところ、興味を持ったご主人が今度は一人でいらっしゃって、長い付き合いが始まる……ということもよくあります。