売り出す株数の10倍超の申し込みが殺到

特に、オープンAIが開発したGPT4と呼ばれるモデルは短期間のうちに性能が向上した。米国の有名大学の入試問題に合格する力を発揮した。また、医師や弁護士などの資格試験もクリアした。

その能力を向上させることは、世界の安全や安心の向上に貢献するだろう。AIの能力を高めることによって、これまで治療が難しいといわれてきた疾病の治療法が解明されるかもしれない。洪水などの災害をより正確に予想して社会への被害を最小限に抑える可能性も高まる。

AIはより効率的な経済運営を可能にするだけでなく、社会の変革を勢いづける可能性を持つことに多くの人が気付いた。そうした期待の高まりを背景に、AI利用の増加に拍車がかかった。AI利用を支えるためには、より演算処理能力の高い画像処理半導体(GPU)などの開発と供給が欠かせない。

AI時代の本格到来とともに、アームの設計技術の重要性は高まるだろう。そうした期待の上昇を背景に、上場前、主要な機関投資家からの申し込みは、SBGが売り出すアーム株数の10倍を超えた。売り出し価格の引き上げも検討されたようだ。

ロボットアーム
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孫会長の“神通力”は健在だった

9月14日の引け値基準で、アームの時価総額は買収総額の約3倍に増加した。企業家の資質、長期的な視点で社会の変化を見抜く孫会長の力が依然として有効であることが、世界に示されたといえる。

今後、SBGは投資家としての孫会長の目を頼りにビジョンファンドの運営を進めるだろう。IT先端分野の企業の株式に投資し、上場などを通して収益を得るというビジネスモデルであるため、相場の変動によってSBGの業績は短期的には上下に振れやすい。

目先、業績不安が高まる可能性は残る。アームのIPOはひとまず成功したが、米国の株価は割高感が強い。2022年3月から本年7月までの間、連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利を約5%ポイント(0.00~0.25%から5.25~5.50%へ)引き上げた。それにもかかわらず、ナスダック上場銘柄など株価は高値圏にある。