洗っていいのは「異物が入った時だけ」

世の中では「目を習慣的に洗うためのグッズ」が販売されていますが、目を洗う必要があるのは「目に異物が入ったときだけ」です。

まつ毛やホコリ、砂が目に入ったとき、あるいは花粉が多く飛散する季節は目がゴロゴロします。まず体の自然な反応として、まばたきで涙が流れますが、それでも異物感が残ったときだけ目を洗います。ごく弱い流水で優しく洗い流すか、手のひらにためた水のなかで、数回まばたきします。

目を洗う市販グッズを使ってもかまわないのですが、2点だけ注意してください。

1点めは「防腐剤フリーのもの」を使うこと。防腐剤は眼球を傷つける恐れがあります。防腐剤を使用している製品がほとんどかもしれませんが、成分表に「生理食塩水」とだけ記載されているものなら問題ありません。

2点めは、市販グッズのカップは使用するたびにしっかり洗浄すること。使った後のカップには、当然ながら目の雑菌が付着します。そのままにしておけば雑菌が繁殖したカップで、また目を洗うことになってしまいます。

いずれにせよ、習慣的に目を洗うのはNGです。あくまでも目を洗うのは「目に異物が入ったときだけ」と覚えておいてください。

目を覆う
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「目をこする」は危険行為である

目をこするのが「いいこと」だとは、もちろん誰も思っていないでしょう。しかし「どれくらいよくないことなのか」という点では、眼科専門医と一般の方とで認識のズレを感じることがあります。

目をこするくらい、大したことではないと思っている人もいるかもしれません。だとしたら大きな間違いです。目を頻繁にこすっていると、網膜剥離や白内障といった深刻な疾患のリスクは間違いなく高まります。

眼球はとてももろいものですが、しっかりと頭蓋骨の硬い骨に囲まれています。そのため、例えば「転ぶ」とか「ボールが顔に当たる」といった外部の衝撃からは、意外とちゃんと守られるようになっています。

そのなかで眼球にピンポイントでダメージを与える可能性があるトップ1こそ、実は「目をこする」という自分自身の行動なのです。

例えば、顔を洗うとき、まぶたのあたりはゴシゴシ洗わないようにしましょう。せっけんの油分が汚れを吸着することで汚れが落ちるので、そもそも強くこする必要はないわけです。まぶたのあたりだけではなく、顔全体をゴシゴシ洗わないと覚えておいてもいいかもしれません。泡でふんわり包み込むようにして洗えばOKです。