2023年のUSB-C移行はベストタイミングだったのかも?
そして、もう一つ、USB-C対応によってiPhoneが「リバース充電」に対応したことも紹介しておきたい。これは、従来とは逆にiPhoneからさまざまな周辺機器に電力を供給できるようにするという新機能。これにより、出先で『AirPods Pro』や『Apple Watch』などを充電できるようになるという。詳細な対応機器などは現時点ではまだ不明だが、iPhoneをモバイルバッテリー的に使えるのは便利そうだ。
今回のiPhoneを皮切りに、今後、段階的に廃止されることになるであろうLightning。SNSなどでは「だったら最初からUSB-Cを採用しておくべきだった」という声も見かけるが、それは的確な指摘とは言えない。USB-Cがスマートフォンに初採用されたのはLightning登場から約3年後の2015年(規格自体はその前年に策定)で、それを待つべきだったというのはどう考えても無理がある。ただし、「引っ張りすぎ」というのは筆者としても同感で、『iPad Pro』がUSB-Cを採用したタイミング(2018年)で切り換えるべきだった。
と言いつつも、散々引っ張った挙げ句、EUからの圧力で移行せざるを得なくなったというのは結果的には良かったのではないだろうか? もし、アップルが2018年のタイミングで自発的にUSB-Cへ切り換えていたら、悪名高いMFi認証のビジネスモデル(当初はケーブルを含む周辺機器の品質確保という点で一定の意義はあった)を継続させていた可能性もあったのだから。
そう考えると、結果論に過ぎないが、今回のUSB-C移行はユーザーにとって最も良い結果に落ち着いたのではないだろうか? より自由で開かれた世界の中で、今後、さらにiPhoneが、ひいてはスマートフォンがより便利に進化していくことを期待したい。