チーム全体のパフォーマンスを引き上げることがリーダーの仕事である。そのときに大事なことは、少数の「できる部下」を重用することではなく、多数の「ふつうの部下」をレベルアップさせることである。

最近は、それができない上司も増えている。

たとえば2割が「できる部下」、6割が「ふつうの部下」、残り2割が「できない部下」とする。この手の上司は、上位2割とだけ良好な関係を築き、その他の8割については「おまえら、邪魔だ」という認識である。

これではチームとしての成果は挙がるはずがない。

本来、「できる」2割は、何もいわなくても成果を出すものだ。上司はその勢いを止めないように、少々フォローをするだけでよい。大事なのはむしろ「ふつうの」6割をケアすることだ。

端的にいえば、2流ないし2.5流だった社員を、一緒に仕事をするなかで1.5流にまで引き上げるのだ。

ところが、種族2:上位2割とだけ仕事をする上司は、多数派である「ふつうの部下」や「できない部下」をあっけなく見限ってしまう。すると、「できない多数派」と、ひとくくりにされることで、ふつうの部下のモチベーションが下がり、結局は8割の部下のパフォーマンスを悪化させてしまうのだ。

以上は、いきすぎた成果主義の副作用といっていい。

※すべて雑誌掲載当時

人事コンサルタント 本田有明(ほんだ・ありあけ)
1952年、兵庫県生まれ。慶応大学哲学科卒業後、日本能率協会を経て96年に独立。著書に『本番に強い人、弱い人』(PHP新書)、『いつも「結果」が出せる人の仕事術』(PHP文庫)など。
(構成=面澤淳市 写真=和田佳久)
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