日本は女性1人でもレストランを利用できる

これは僕にとっては不可解以外の何物でもないのですが、ひとり客を歓迎しない店(もしくは店主)というのは世の中に確実に存在します。もちろん席の配置やメニュー内容によっては、そもそもひとり客への対応が難しい店はあります。しかしそういった明確な理由がなくてもなんとなく敬遠する店主は、残念ながら存在します。

こんなことを言うと、せっかくおひとり様デビューを果たそうとしている人たちの出鼻を挫いてしまいそうで気が引けるのですが、現実問題としてそれは有る。ただし、そういう店は「アップデートしていない店」とも言えるのではないか、とも思っています。

先にイタリアンやフレンチのレストランに限定した話をすると、元々欧米のレストランはひとり客を全く想定していません。お客さんは基本二人、しかもそれは「男女のカップル」であることが暗黙の了解です。ずいぶん窮屈な話ですよね。

レストランでディナーを楽しむカップル
写真=iStock.com/Prostock-Studio
※写真はイメージです

でも、それは昔からそういう文化なんです。だから欧米人の旅行者が「日本は女性一人でもレストランを利用できる点が素晴らしい」と言っているのも、聞いたことがあります。

しかし、日本においてもあくまで本場志向のシェフは、そういう文化ごと「現地そのまま」を自分のお店で再現したいと考える場合もあるようです。

和食や中華でも似たようなことはあります。ごく庶民的な店は別として、昭和以前のそれはあくまで「宴席」の場でした。大人数で集うことが普通で、最小単位も二人。この感覚が今でも持ち越されている店がまだあります。

ひとり客を歓迎しない店の探し方

あくまで個人的な感覚としては、現代、つまり個人個人が思い思いに美食を楽しむ時代においては、そういう旧弊な価値観はアップデートした方がお店にとってもお客さんにとっても幸せなのではないか? とも思います。

とは言え価値観なんてそう恣意しい的にすぐさま変えられるものではないし、クラシックなスタイルを律儀に守り抜くということ自体にも価値はあります。だからそういう店は、おひとり様側が察して近付かない、というのが現実的でしょう。

幸いそういう店を見抜く、割と確実な方法があります。レビューサイトです。普段「レビューサイトの評価は役に立たん」と憤慨している人も、こういう時こそは活用してみてください。そこにはひとり客として存分に楽しんだ人もいれば、冷遇されてちょっと悲しい思いをした人もいます。それらの投稿がなくても、なんとなく「察する」ことは概ね可能です。

何にせよ、ひとり客デビューにあたってはレビューサイトが有効です。総合点数などはこの際無視しましょう。レビューの中に一人でウキウキ楽しんでいる様子を報告したものがあれば、(料理の味などには多少ケチをつけていたとしても)その店は狙い目です。そしてそういうレビューを書く人は、他の店でもきっとおひとり様を楽しんでいます。そこを辿っていけば候補店がわんさか見つかる可能性が高い。