自民党県議団が求めているのはボーナス返上ではなく知事辞職

給与等の不返上で批判にさらされた川勝知事は「(総務委員会で給与等不返上が問題だと自民党県議が指摘したことは、県議会で審議入りしたことと同然であり)条例案提出の環境が整った」という理由を挙げて、9月県議会への条例案提出を表明した。

ただどう考えても、2021年暮れの状況と事態は全く変わることなく、自民党県議団が求めているのは、川勝知事の辞職であり、給与等の返上ではない。

「条例案提出の環境が整った」と、まるで自民県議団側の姿勢が変わったかのような理由を挙げて、川勝知事が給与等返上に関わる条例案を提出したとしても、自民党県議団がすんなりと受け入れるとは思えない。

筆者は、知事が科したペナルティーがおカネの問題であるならば、給与等の約440万円ではなく、その10倍に近い4期目(2025年7月までの任期)の退職金「約4060万円」返上を求めるべきだと、7月20日公開のプレジデントオンライン「4年に1度の退職金4060万円も返納すべき…リニア妨害の川勝知事が『440万円未返納問題』で取るべき責任」で提案した。

3人の副知事の「謎の退職金辞退」

ところが、川勝知事の過去3期の退職金を取材していくと、川勝知事の時代になってから、静岡県庁出身の副知事3人が、退職金を全額受け取っていないという驚くべき事実が明らかになった。

それも、副知事たちの退職金辞退は、川勝知事によって強制的に仕向けられた疑いが濃い。つまり、川勝知事の越権行為が疑われるのだ。

川勝知事は1期目の退職金を選挙公約に従って辞退した。それ以後の2期目、3期目の退職金をすんなり受け取ったが、その任期中に副知事3人は退職金を受け取らない不思議な事態が続いた。

本稿では、今回の給与等返上のトラブルの根底に、副知事への越権行為を疑わせる川勝知事の問題の多い政治姿勢をわかりやすく伝える。