「わきが」の発症頻度も10人に1人程度

脇の汗でもう一つ悩みの種となるのが「腋臭症」です。「腋臭症」とは、脇の下から独特な悪臭を放つ状態を言い、「わきが」とも呼ばれ、日本人の発症頻度は10人に1人程度です。

皮膚にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類の汗腺があり、腋臭の主な原因はアポクリン腺の分泌亢進です。アポクリン汗腺から分泌される汗にはたんぱく質や脂質などの有機酸が含まれており、それが脇に存在する常在菌により分解されることで、特有のにおいが発生します。アポクリン汗腺は耳の中にも存在し、腋臭症は耳垢が湿っている人に多く見られます。

古い調査ですが、1934年に国内で行われた調査では、男女2937人を対象とした耳垢型と腋臭症の有無について調べたところ、湿型467人のうち腋臭症を有する者は80%で、男女比率でいうと女性の方がやや多い傾向が見受けられました。(長島次男「本邦人の聹腺及び聹殊に腋臭症との関係に就て」皮膚科泌尿器科雑誌, 36;690-704,1934)

腋臭症の程度は年齢によって変化します。第二次性徴に伴う思春期に発症し、20代でピークを迎えます。女性の場合はホルモンバランスに影響を受け、月経前から月経時に強増します。(山田晃司「【解剖生理がよくわかるからだの不思議Q&A 2】(PART 8)その他 外国人は体臭がきついのは、なぜですか?」プチナース、2011年5月)

こまめな汗拭き、制汗剤やパウダーで対処できる

腋臭症のセルフチェックポイントは、耳垢以外に汗の色でも判断できます。通常、腋汗はエクリン汗腺から分泌され透明です。一方、腋臭の人の脇にはアポクリン汗腺が多く、アポクリン汗が大量に分泌されます。アポクリン汗は、たんぱく質や脂質、糖質、鉄分、アンモニアなどといったさまざまな物質を含むため、衣類に黄ばみを残すのが特徴です。

腋臭は、軽度のものなら自己対処することも可能です。こまめに汗を拭くことや、制汗剤や殺菌剤、パウダーなどの使用も効果が期待できます。飲酒や喫煙はアポクリン汗腺の働きが活発になるので控えた方が良いでしょう。肉をはじめとした高カロリー&高脂肪な食品も皮下脂肪がつきやすくなり、においを増強させる要因となります。

脇の下に制汗スプレーを使用する人
写真=iStock.com/deeepblue
※写真はイメージです

腋臭は自覚しづらく、周囲からも指摘されづらいデリケートな問題です。家族など近しい人に聞いてみるのも判断する上で重要です。気になる場合は一度皮膚科に相談してみることをおすすめします。

汗は厄介ではありますが、人間が生活する上で重要な役割を果たしています。汗とうまく付き合い、快適に過ごすことで、暑い時期を健康的に乗り切りましょう。

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