決して庶民派の人間ではない
「また、重立った貴人たちの大勢の娘たちを養女として召し上げ、彼女らが十二歳になると己れの情婦としました。これら諸大身の娘たちで、器量がよいという評判が彼の耳に達しながら、ただちに連行されなかった者は一人もありませんでした」
「結局は手の施しようもなく、本件は放縦をきわめ、皆はもはや拒否せぬばかりか喜んで娘を提供し、かくて身の安全を計るようにまでなりました」
むき出しの欲情と、身分が高い女性を肉体的に征服することで、相対的に自分の価値を高めようという倒錯した欲望。女性への人権侵害のきわみで、オルガンティーノの「獣より劣ったもの」という表現が、少しも大げさに感じられない。
貧しい階層の出身で人たらしだった秀吉を「庶民派」と理解している人は、考え直したほうがいい。