伝える構成要素を準備する2つの方法

省く情報を決めたら、次は伝える内容を決めます。

ここは非常に重要なポイントです。

ここが明確になっていなかったり、抜けがあれば当然、伝わらなくなってしまいます。

ここでは2つの方法をお伝えしていきます。

1つ目は時系列に起きたこと、あるいは思いついたことを書き出し、そこから伝えるべき情報をピックアップして、その後、余計な情報をそぎ落とすやり方です。

しかし、この方法は人によっては膨大な時間をかけてしまうことがあります。

また実際に自分が重要と思っていた内容は相手にとってはさほど重要でないという場合もあります。

精度を安定させるのが難しいのです。

そこでお勧めなのが2つ目に紹介する方法です。

それはフレームワークを使って話す内容を決めるやり方です。

フレームワークは完璧主義に陥りがちな人には特にお勧めです。

前者の伝えたいことを書き出す方法は完璧主義の人が使うと「あれもこれも」と書き出すことが広がりすぎてしまうことがあります。

しかし、広げすぎは時間との兼ね合いを考えるとよくありません。

何か計画を立てる時、網羅的にリスクを鑑みる「網羅思考」より、あたりをつけて検証する「仮説思考」の方が、早く着手できるし、ゴールにたどり着くという原理と同じです。

時間効率という観点から考えても「フレームワーク」に当てはめてしまった方がいいでしょう。

「5W3H」でシンプルにそぎ落とす

ではそのフレームワークですが、実のところ無数にあります。

その中でも具体的に推したいのは5W3Hというフレームワークです。

このフレームワークを用いたことで、実際、私の部下で報告に要領を得なかった部下の報告や相談の精度が一気に高まりました。

他にも私の研修や1 on 1(上司と部下が1対1で定期的に行う面談であり、メンバーの成長のサポートになります。私の仕事に置き換えると、現場の上司と毎月1回面談を行うものになります)などで「部下の報・連・相が的を得てない」と嘆いていた人に紹介したところ、実際に使ってみて悩みが消えたとの声も数多くいただいております。

【図表】5W3Hというフレームワーク

① When……いつ、いつまでに(期限)
② Where……どこの(場所・会社名・所属)
③ Who………誰が・誰に(誰が見る)
④ What……何を
⑤ Why……何のために
⑥ How……どのようにして(手段)
⑦ How many……数量
⑧ How much……金額・予算


(例)
① When……5月10日までに
② Where……西井物産の
③ Who………山本常務が見る
④ What……30周年記念式典提案書
⑤ Why……5月17日のコンぺのため
⑥ How……既定の用紙、補足資料パワポで3枚程度
⑦ How many……90人
⑧ How much……1人あたり2万以内

「5W3H」なんて今さらと思った方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、この当たり前が抜けていることは結構あるものです。

そもそも伝えたいことはシンプルにそぎ落とすことです。そして何より大事なのが普段から手軽に使えるフレームワークを使うことです。

いくら高次元の方法を知っていても、やらなかったら宝の持ち腐れです。

吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)
吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)

ここまで書くと「大事なのはわかったよ。だけど忙しいからいちいち伝える前に『5W3H』なんて埋められないよ」と思った方もいらっしゃるでしょう。

しかし、それに使う時間はせいぜい1分程度です。

逆に伝える前に1分程時間を使うことによって「伝わらなくてやり直し」「何度も質問される」などの問題が起こることを防止できるのです。

実際、緊急の仕事をされる方にも使っていただいています。

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