相手がいる若い人がいたずらに出産を遅らせる必要はないが…
女性は30歳になると、出産適齢期という重石が心に軋み出すと、前回書きました。ただ、よく調べると、言われるほど40代の妊孕力(子どもを産む力)は下がっていないということは、お分かりいただけたでしょう。
この話を書くのに、私もためらいがありました。
世の中で言われる通り、若いうちのほうが出産確率は高い。出産後の体調なども交えて考えれば、間違いなく出産は若いうちにしたほうが良いでしょう。だから、相手がいて産む余裕もある女性に、いたずらに出産を後ろ倒しすることを私は勧めていません。
ただ一方、考えて欲しいことが二つあります。
まず、相手が見つからず、35歳になってしまった女性はどうしたらよいのでしょうか?現状だと、もう焦りと諦めの気持ちに押しつぶされそうな状態です。
彼女らの多くは、「もう子どもなど無理」と考えがちです。世の医師もマスコミも、「40歳過ぎたら出産は困難」が大勢でしょう。でも、その困難というのが、どのくらいの確率なのかは、ほとんど示していません。100のものが0になってしまうのか、良くても20か30と考えがちです。こうした過度に悲観な「イメージ」だけで終えず、一度、しっかり数字のデータで示すべきではないでしょうか。
そうした上で、きちんと議論をすべきでしょう。
40代での出産可能性を考える意義
そしてもう1つ、たとえば、40歳過ぎて産んだら、どうやって育てるのだ? 体力や収入の低下は大丈夫か。
流産、合併症、障がいなどの確率が高くなることにはどう対処するか。
こんな話を、これから3回にわたって取り上げていくつもりです。
「早く産むべき」というアナウンスは若い世代に向けて発し、合わせて30歳過ぎた女性たちには別のメッセージを用意すべきだと、私は強く思っています。
そのためにも、40代前半の出産可能性というものを、いま一度考えてみましょう。