バブル後も建てられ続けた新築住宅

日本では人口減少がものやサービスの値段がなかなか上がらない原因にもなっています。それが最も明らかなのが住宅市場です。日本はバブル崩壊以後に家の価格が崩壊してそのまま値段が回復していません。

そしてバブル期にはたくさんの戸建やマンションが建てられて、住宅不足が解消されてむしろ余るようになってしまいました。

住宅は余っているのにもかかわらず、日本人は中古住宅を買わない人が多いので、たくさんの新築住宅がバブルの後も建てられ続けてきました。しかし、少子高齢化で日本人はどんどん減っているので、住宅は供給過多に陥っています。

しかも震災が相次ぐ中、買いたいという人が多いので古い家は売れなかったりします。

また、共働きの家が増え、子どもがいる夫婦は都市部で通勤が便利なところに住まないと子育てをしながら働くことがなかなか難しいので、地方や郊外の不便な家には住みません。

若い両親と子供が手をつないで公園を散歩する
写真=iStock.com/RyanKing999
※写真はイメージです

「買い手」が減る日本

なので、ますます家が余ってしまうわけです。最近は住宅価格の上昇がニュースになることもありますが、それは東京都や大阪府などの大都市とその周辺県が平均を大きく押し上げているだけです。

それ以外の地域では海外の金融関係者や経済学者は日本の住宅の値段が今後も上がることは考えにくいと述べています。人口がどんどん減っていくのに家はたくさんあるわけですから、買いたい人が少ないので値段が上がらないというわけです。

他の先進国はこれと逆で、日本のようなバブル期がなかったので、多くの国では家やマンションを建ててきませんでした。

こうした物件をどんどん建ててしまうと、質の悪い建物が乱立したり、景観が変わってしまったりするので、建設には厳しい規制がある国が多いのです。

また、海外では地震がほとんど起きない国も多いので、日本のように最新の耐震基準の家も必要ないわけです。

このように、家の数が限られているので人口が増えて買いたい人が多くなれば価格が上がります。他の先進国はどんどん移民を受け入れて人口が増えているところもあるので価格が上がり続けているわけです。

不動産価格も、一部の都心部を除いて、「日本の安さ」を表す一例となっているのです。