日本人の給料はどうすれば上がるか。イギリス在住で著述家の谷本真由美さんは「日本はアウトプットそのものより『インプットの量=どれだけ頑張ったか』を評価するが、これでは生産性が高まらずお金を稼げる製品やサービスを生み出せない。日本の多くの組織で起こっているのは、1杯のラーメンを6500円でつくり1000円で売るというようなことだ」という――。

※本稿は、谷本真由美『激安ニッポン』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。

疲れたビジネスマンが机の上で寝ている、男が横になって休んでいる
写真=iStock.com/Liubomyr Vorona
※写真はイメージです

5500円の赤字を垂れ流している日本企業

ここからは「日本人の給料はなぜ上がらないのか」を見ていきましょう。

まず、その理由の1つは、日本企業のアウトプットが増えていないということです。それは要するに、時間・お金・材料・労働といったインプットを増やしても、お金を稼げる製品やサービスを提供できていないのです。

インプットが多いということはどういう意味か。

・たくさん予算を使う
・たくさん材料を使う
・長い時間働く
・たくさんの人が働く

ということです。非常に単純ですね。

それでは、1杯のラーメンをつくるのに「材料費に2000円」使い、「時給1000円の人が3時間」働き、「電気代が500円」かかったとしましょう。また、ラーメン1杯あたり、「家賃が1000円」かかるとしましょう。

合計すると全部で6500円もかかっています。

しかしこれを1000円で売っているとすると、5500円の赤字になります。

6500円かけてつくったものを1000円で売るというと、バカげていると感じるでしょうが、今の日本の多くの組織でやっていることはこれに近いのです。