地元のJAと協力する外国の農業法人

外国人が買っているのは不動産だけではありません。彼らは日本の農地も買っているのです。

日本では、農地を買ったり使ったりするのにはさまざまな制限があり、届け出や審査が必要ですが、農業法人を設立し、農地を所有することは可能です。ただしその法人は「農業関係者が総議決権の過半数を占めること」という決まりを満たさなくてはいけません。

外国人が所有する法人でこの規定を満たすことは難しく、加えて地元の協力も得なければならないので、なかなかハードルが高くなります。しかし、外国人の農業法人は激増しているわけではないのですが、間違いなく存在はしています。

たとえば、愛媛県西条市の「イーキウイ」という農業法人があります。親会社はニュージーランドの企業ですが、香港資本が49%を占めます。

イーキウイは地元のJAと協力し、キウイフルーツの大規模栽培計画を打ち立て、西条市の土地取得を進めています。元々西条市は「キウイブラザーズ」というキャラクターで有名なゼスプリキウイの生産をしていました。

そうした背景もあり、イーキウイは西条市で農地を取得し、ゼスプリキウイの生産を増やそうとしているのです。

コピースペースと木製の背景にキウイフルーツ
写真=iStock.com/Mizina
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「農地買収」が引き起こすトラブル

しかし、約束していた金額が農協に支払われなかったり、生産に大量の水を使うことにより井戸水が枯渇するのではないかという懸念が広がったりなどして、農協との間に亀裂が入っています。

地元の人々は、外国資本の法人が農地を取得していくことに不安の声をあげる人もいます。しかし、こういった地域は過疎化が深刻化し、働き手がいないために耕作放棄地が多く、買い主の外国企業からは足元を見られている状態のところも少なくないようです。

外国企業がそういった姿勢でくれば、西条市のように地元住民が不利益を被る可能性も高くなります。

農地の荒廃には日本政府も頭を悩ましており、政府は農地の取得条件を徐々に緩和しています。

日本では2023年4月に農地法が改正となり、農地の権利取得に際して下限面積要件が廃止されることとなりました。また、法人による用地の取得も以前より緩和されたので、今後は外国法人による取得がおそらく増えていくでしょう。