影響されやすい人は健康番組に気をつけるべき

健康マニアの人にも、この医学生症候群と同じような現象があらわれるのではないか、と私は考えています。ですから、そんなに健康について詳しくなろうとしないほうがいいと思うのです。

私は心理学者ですので、心理学の本が売れてくれるのは単純にうれしいのですが、それでも「心理学の本はあまり読まないほうがいいかもしれない」とも感じることがあります。心理学や精神医学の本を読んでいると、「私にも、心の障害があるのではないか?」と思ってしまうことがあるからです。

世の中には、“知らないほうがかえって幸せ”ということはよくあります。

健康について関心を持つことはよいことだとは思うのですが、度を越した健康マニアは、健康を心配するあまり、かえって不健康になってしまう危険性があることも覚えておくといいでしょう。

テレビで、健康関連の番組を見ていると、「ひょっとすると自分もガンなのでは?」などと不安になってしまうことはありませんか。そうやって不安を感じるくらいなら、最初からそういう番組は見ないほうがいいのです。特に、影響されやすい人は気をつけてください。

ムダなぜい肉がつくと自信が失われていく

生きていくうえで一番重要なのは、自分に自信を持つことです。自信が持てないと、生きていく気力や活力も持てません。「私はダメ人間だ」「私はクズだ」と思っている人が、幸せに生きていけるわけがないのです。

では、どうすれば自分に自信を持てるようになるのでしょうか。

ひとつの方法は、ダイエット。

なぜかというと、身体にムダなぜい肉がつけばつくほど、私たちの自信は失われていくからです。

体重と自尊心の関連性を調べた研究はたくさんあるのですが、米国バーモント大学のキャロル・ミラーはそういう研究を71個見つけ出しました。その71の研究を総合的に分析し直したところ(「メタ分析」といいます)、「体重が重くなるほど、自尊心は低くなる」というはっきりとした傾向が確認されました。

太ってくると、自信が持てなくなるのは、ほぼ確実だといえます。

ですので、自信をつけるためのてっとり早い方法は、とにかくダイエットすることなのです。

【イラスト】『すごく使える心理学テクニック』より
イラスト=杉崎アチャ