※本稿は、内藤誼人『すごく使える心理学テクニック』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
お願いをするときは目を合わせてから
お願いを聞いてもらうには、ちょっとしたコツがあります。
それは、きちんとお互いの目を合わせてから、お願いをすること。目が合っていないのにお願いをしても、言うことを聞かせることはできません。
たとえば、同僚のだれかに自分の仕事のお手伝いをしてもらいたいとしましょうか。
このときには、まず「○○さん!」と相手の名前を呼びかけ、相手がきちんとこちらに顔を向け、目が合ったことを確認してから、「実は、お願いがあるんですよ」と切り出すようにするのです。目が合っていないときには、お願いをしてはいけません。たったこれだけのことを注意するだけで、相手が素直に受け入れてくれる割合は2倍も高まってしまいます。
米国テンプル大学のキャロリン・ハムレットは、先生の言うことを聞かないジェシカとネイサンという2名の問題児(どちらも11歳)に、おもしろい実験をしています。
調べてみると、先生が「鉛筆を置いて」「座って」など10のお願いをしたとき、ジェシカは20%、ネイサンは30%しか言うことを聞いてくれませんでした。
そこでハムレットは、先生に目を合わせるテクニックを伝授したのです。「ネイサン!」と名前を呼び、2秒以内に目を合わせてくれなかったら、もう一度「ネイサン!」と名前を呼びかけ、きちんと目を合わせてから指示を出すようにしたのです。
言うことを聞いてくれる割合が2倍アップ
このやり方を試してみると、ジェシカは60%、ネイサンは70%も言うことを聞いてくれるようになりました。
目を合わせるだけで、言うことを聞いてくれる割合は2倍もアップしたのです。すごいですよね。
人にお願いをするのがうまい人は、このテクニックを無意識に実践しています。
たとえば、お願い上手な女性は、「○○さん、お願い!」と言いながら、上目づかいでじっと相手の目を見つめるのです。こういうお願いをされると、たいていの人は、素直に応じてしまうものです。その女性が、大変な美人で、魅力的だからではありません。目を見つめてお願いするから、相手も応じてくれるのです。
このテクニックは、女性だけでなく、もちろん、男性も利用できます。
ただ、女性は相手と目を合わせることにそれほどの抵抗を感じませんが、男性は相手の目を見つめるのが苦手な人が多いので、きちんと目を合わせないまま、お願いすることが圧倒的に多いのです。自然にできるようになるまでは、「目を合わせてからじゃないとダメだぞ」と自分に言い聞かせないと、男性はこのテクニックを実践できないことも覚えておいてください。