「政治とカネ」疑惑で自民党を離党
秋本真利衆院議員(比例南関東、当選4回)が2023年8月、自民党を離党した。
これは、再生可能エネルギー事業を手掛ける「日本風力開発」から、約3000万円にものぼる不透明な資金を受領していたという疑惑により、東京地検特捜部が8月4日、秋本議員の衆院第1議員会館にある事務所など関係先を家宅捜索したことを受けたものである。
容疑は、洋上風力発電をめぐる公募入札の基準に関して、日本風力発電が有利となるような国会質問を行い、入札基準見直しが公表されたことに対する見返りを受け取った、という収賄容疑である。
秋本議員は務めていた外務大臣政務官を8月4日に辞任し、8月5日付で自民党を離党した。8月7日には、衆議院の自民会派からも離脱したと発表された。
「再エネ議連」事務局長、政務三役を歴任
秋本氏は、再生可能エネルギー政策の「キーマン」として、2017年秋から与党自民党の「自由民主党再生可能エネルギー普及拡大議連(再エネ議連)」(会長・柴山昌彦元文科相)の事務局長を務め、この議連の顧問である現職大臣の河野太郎デジタル大臣にも近い関係であり、政策を主導する立場にあった。
また、2017年8月7日任命の第3次安倍内閣第3次改造では、再生可能エネルギーの普及を管轄とする国土交通大臣政務官に就任し、2017年10月の衆院選を受けて組閣された第4次安倍内閣においても再任され、2018年10月までその職にあった。
さらに、2022年8月12日には第2次岸田改造内閣の外務大臣政務官に抜擢され、この問題が表面化する現在までその任に当たっていたことを見ても、自民党の中では政策決定に関して一定の影響力を保持する人物と目されていたことは間違いない。
特に政務官という役職は、決して軽いものではない。政務官は、いわゆる「政務三役」(大臣・副大臣・政務官)の一角であり、国の政策の形成、そしてその見直しや、変更に関して、常に影響力を及ぼすことができる立場にある。政務官を経験し、与党の「再エネ議連事務局長」ともなれば、その影響力については言わずもがなである。