IR事業推進のためのアリバイなのか

染谷一『ギャンブル依存』(平凡社新書)
染谷一『ギャンブル依存』(平凡社新書)

図らずも、「カジノを含む統合型リゾート(IR)」をめぐって、2019年末には、現職の国会議員が収賄容疑で逮捕された。そこに巨額のギャンブルマネーによる「おいしい利権」が埋まっていることが、皮肉にも国民の代表によって明らかにされてしまった。

つまり、あまりにも唐突にギャンブル依存の治療が保険適用になったのは、「IR事業を進めるためのアリバイづくり」と勘ぐることもできる。苦しむ人が減るのであれば、アリバイづくりだって歓迎だが、そもそも依存に苦しむ人を減らす工夫こそが、カジノ導入の前に必要ではないか。

「統合型リゾート」などと「きれいなイメージ」で経済効果を訴える前に、「ギャンブルにおける日本の特殊性」をきちんと理解し、時間をかけた調査研究を先行すべきであることは、この国の現状を見れば明らかだ。これ以上、日本の「疑似カジノ化」を進めないためにも。

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