もちろん、単にこうした概念図を描いただけでは何も生まれてこない。大切なのはスイートスポットを探し続ける姿勢である。当社を例にとって考えてみよう。
競合にあたる既存の生命保険業界の動向を眺めてみる。生保業界はかつて国の規制下に置かれ、新規参入はもちろん、価格設定も自由にできない状態だった。規制緩和によって、ようやく新規参入の制限が緩やかになり、保険料の規制も弾力化された。そのうえ、インターネット時代が到来し、新たな流通チャネルが生まれる可能性も広がった。にもかかわらず、生命保険会社の足取りは重い。
「顧客は自分で商品を選べない」
「ネットで生命保険が売れるはずがない」
そんな業界の常識が根強かった。
一方、お客さまにとって既存の保険商品は複雑で、どれが自分に最適な商品かを把握することが難しかった。そのため、多くの人が内容を十分に理解しないまま、高い保険料を支払っているのが現実であった。
また、若い子育て世代の所得が低くなり、生命保険料の負担が家庭に重くのしかかっているという状況がある。こうした家庭の生命保険料を引き下げることができれば、その分を別の出費に振り替えられ、より豊かな生活を送れるようになるだろう。