プーチンが侵攻を決断した日

プーチンが侵攻を決断したのはいつでしょうか。

公開情報を見ると、アメリカがウクライナ国境沿いのロシア軍の動きに警告を発し始めたのは2021年の4月です。10月にはアメリカの国防長官がウクライナを訪問して支援を表明し、12月になるとアメリカ政府がロシア軍の侵攻は「差し迫っている」と警告し始めました。

ロシアはもっと早く侵攻したかったのでしょうが、結果的に侵攻開始は翌2022年2月24日となりました。私は、プーチンが最終的に侵攻の腹を決めたのは、米軍がアフガニスタンから撤退した2021年8月末だったと思っています。

ウクライナ戦争の4つの論点

2022年2月24日、ウクライナで始まったプーチン大統領の「特別軍事作戦」をめぐる議論は尽きることがありません。この戦争に関しては今も世界各地で様々な情報分析や陰謀説が飛び交っています。今日の国際情勢を正確に理解するためには、この戦争の意味を正しく分析し、現在の国際政治・経済の潮流の中で、この戦争が如何なる意味を持つかを知る必要があると思います。

ここではまず、通説や俗説を踏まえて「悪魔」と「天使」にさまざまな意見を象徴的に語ってもらい、それらの真偽を見ていきましょう。

悪魔のささやき

①NATO(北大西洋条約機構)が進めた「東方拡大」は、ロシアにとって国家安全保障上の重大な脅威であり、プーチン大統領にはウクライナ侵攻に踏み切らざるを得ない切実かつ正当な理由があったことを忘れてはならない

②就任後にクリミア半島奪還を主張する対露強硬政策を打ち出すなど、ゼレンスキー・ウクライナ大統領はロシアを必要以上に挑発したのであり、戦争勃発の責任の一端はウクライナ側にもある

③アメリカも例外ではなく、ロシアのウクライナ侵攻前に「米軍の軍事介入はない」と明言したバイデン大統領は、プーチン大統領に軍事侵攻の成功を確信させただけでなく、ロシアの軍事侵攻を事実上黙認した責任がある

④この戦争は多数の民間人を巻き込む悲惨なものであり、長期化すればロシアが戦術核兵器を使用する可能性すらあるので、1日も早く無条件で停戦すべきである


天使のさえずり

①NATOの東方拡大は当時のヨーロッパ政治の潮流であり、NATO内でも「拡大」に反対する意見は少数だった

②2014年のロシアによるクリミア併合は国際法違反であり、ゼレンスキー大統領の主張は正当である

米軍不介入宣言は、ウクライナにおける戦闘を核戦争にエスカレートさせないために必要不可欠だった

④戦争の帰趨は「外交」ではなく「戦場」で決まるが、ロシアが核兵器を使う可能性は限りなく低い