給与水準はピンキリ

一方、実際に働いている職員の中には、さまざまな悩みを抱えている方も少なくありません。成長実感がわかない、キャリア構築ができない、職場の運営体制や危機感のなさに焦燥感を抱いている等々、さまざまなぼやきも耳にします。ハラスメントや不祥事はどのような組織でも起き得ることですが、アカデミック・ハラスメントや学生の不祥事など、大学組織ならではの問題もあります。給与水準だって実際にはピンキリです。

積み上げられたコインを見つめるビジネスマンの人形
写真=iStock.com/Andres Victorero
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本稿のテーマ自体をいきなり覆すようですが、一言で「大学職員はこうだ」などとくくって論じられるわけが、そもそもないのです。電通だけを取り上げて「広告業界は高給だから目指すべき!」と断じているようなもの。スタッフ2人だけで制作している地域のフリーペーパーも広告業と言えますが、同列では語れませんよね。共通する点も確かに存在はしますが、過度に一般化してしまうのは危うい。大学職員は注目を集めているけれど、流布されている情報には著しい偏りがあります。

時代の変化、期待される役割の変化

日本の大学は3種類に分けられます。①国立大学法人が設置する国立大学、②公立大学法人が設置する公立大学、③学校法人または株式会社が設立する私立大学です。こうした法人に勤め、組織運営に従事しているのが大学職員と呼ばれる方々です。

一般的に大学職員と言えば、事務職員を指します。教授や准教授といった「教育職員」や技術職員、病院の医療スタッフなども広義ではみな職員なのですが、こうした方々も含めて言い表す場合は慣例上、「教職員」という言葉を使うことが多いでしょう。