我が子に最適な塾はどうすれば見つかるのか。教育家の小川大介さんは「『どこかに正解の塾があるはず』という考えは幻想にすぎない。転塾を繰り返す親は、子どもではなく、『成績が上がるかどうか』という結果だけをみている」という――。

※本稿は、小川大介『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

学校の話で母と娘
写真=iStock.com/frederic Michel
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親の「あせり」は子どもを振り回す

さまざまな親御さんの悩みを聞きながら近年強く感じるのは、みなさんなぜだかとてもあせっている、ということです。

「否定しない」「与えすぎない」。頭ではわかっていても、「このままでいいのかな?」と不安になり、ついつい「それじゃダメだよ」と否定したり、教育によさそうなものをあれこれと与えすぎたりしてしまう傾向が、以前にも増して目立つように思うのです。

特に「中学受験」を考え出すころになると、親御さんのあせりは顕著になります。

ある親御さんは、お子さんを次から次へと転塾させ続けていました。

3年生まではA塾に通わせていたけれど、何だか伸び悩んでいるような気がするから、4年生に上がると同時にB塾へ転塾。B塾も思ったほどに子どもの成績を上げてくれないから、5年生からは学年上位の子が通っているC塾に転塾。ところが友だちの成績は伸びていくのに自分の子はクラスが下がってしまったので、「この塾は合っていない」と感じて夏休み前に今度はD塾へ。そこでもうまくいかず、「塾の形態を変えたほうがいいのかな」と今度は個別指導塾へ。6年生になったら、今度は家庭教師をつけてみよう。

「どこかに正解の塾があるはず」という幻想

このように、子どもの学習環境をコロコロと変えたがる親御さんが意外に多いのです。

「次々に転塾させる」という行動の裏には、「どこかに『正解』の塾があるはずだ。その塾を探さなきゃ」という思考があるのでしょう。

しかしこう目まぐるしく塾を変えていては、子どもの成績は伸びません。学習内容が一貫しませんし、環境になじむための負担が大きいからです。

ただ残念なことに、このような親御さんには、お子さんの負担が伝わっていないことがほとんどです。

親が「子ども」ではなく、「結果」を見ているからです。

ほかの子が「いい結果」を出したのに、うちの子は出していない。あの子が得た「いい結果」がうちの子にもほしい。なぜうちの子は「いい結果」を得られないのか。自分と子ども以外の誰かのせいだ。塾が悪い。塾を変わろう――こんなふうに考えてしまうのです。