20%以上のチップを払う人は1年で13ポイントの急減

米大手日刊紙のUSAトゥデイは、物価上昇によりチップの額が減少していると指摘する。

飲食店向けテック企業のポップメニュー社が昨年実施した調査によると、レストランで20%以上のチップを支払うと回答した人の割合は43%であった。一昨年の56%から13ポイント急落した。

こうしたなか、あからさまにチップをせびることを良しとせず、独自の施策に動いた飲食店もある。USAトゥデイ紙によると一部レストランでは、「従業員が必要とするお金を稼ぐ能力が、利用客の気分に左右されることのないよう」との思いから、チップを廃止しメニュー価格に上乗せした。店舗のオーナーは、「スタッフの生活の質を向上したかったのです」と語る。

だが、CBSニュースは、この動きには店側にリスクがあると指摘している。見かけ上の価格が上昇することで、ネガティブな口コミが発生するケースがあるという。

簡単にチップ文化はなくならない

チップにも優れた面はあり、一概に問題であるとも言い切れない。客としても、懇切丁寧なサービスを受けた際には、親切心に報いたいという思いが働く。チップによって、お互い気兼ねなく感謝の意を示すことができる。

一方、建前上は善意の現れであるチップも、実際にはマナーの一部に組み込まれている。必要な場面でチップを支払わないことは常識に反する、という感覚がしっかりと根付いている。そんななか、あたかも当然のように規定のチップ額を表示する会計端末が登場した。

従来ならばチップなど気にせず気持ちよく会計を済ませられた場面で、いまや「チップなし」を選択するのは道義に反するのだろうか、そして払うならいくらが妥当なのだろうか、といった新たな葛藤を生じている。

人々にいっそうの困惑をもたらしているチップだが、それでもチップの慣習自体が容易に覆る気配はない。問題が露出するようになった現在でも、アメリカの多くのメディアは、すでにマナーとして定着していることから、チップの制度が廃れることはないと見ている。

「チップを払いますか?」との画面が表示されれば、ほかの客の視線が注ぐなか、「No」は選択しづらいのが実情だ。無人の機械からチップをねだられる新方式は、好むと好まざるとにかかわらず、今後も拡大してゆくのかもしれない。

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