ワーママは「無理ゲー」なんです

寄せられたコメントを読んでみると、

・「疲れている自分、家事をしなければならないがスムーズにいかず、気力なく、そういうときに子どもと衝突しイライラが募るという、負のループに陥ります」(千葉県40代/11歳児ママ)

・「イライラが止まりません。毎日、怒鳴っています」(千葉県30代/5歳・2歳児ママ)

・「フルタイムで仕事をしていると、平日帰宅後は夕食作り、夕食、片づけ、お風呂、就寝準備、明日の用意……と子どもと向かい合って過ごす時間がない。宿題や学校からの連絡もおざなりになってしまう」(岐阜県30代/7歳・4歳児ママ)

・「仕事から帰ってきて子どもをあやしながら家事をするのがとても疲れる。(コロナ禍では)テレワークになって、夫が家にいることが増えたので、夫の昼食を作らないといけない」(大阪府20代/1歳児ママ)

それぞれに大変な負担感の中、生活を送っていらっしゃることが伝わってきます。アンケートの性質もありますが、世間の人たちがうっすらイメージしている「幸せな子育て」「キラキラしたワークライフバランス」など、そこにはほとんどないのです。

この本のタイトルに沿うなら、ワーママはズバリ、「無理ゲー」なんです。

赤ちゃんを負ぶって引っ越しの準備を進める母親
写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

何よりも大事にするべきは「自分自身のケア」

私は子育ての専門家ではないので、ここで寄せられたそれぞれの悩みについて、「○歳のお子さんにはこう接しましょう」とか「宿題や学校からの連絡対策はこうしましょう」といった個別のアドバイスはできません。

一方で、私はメンタルヘルスの専門家として、「心」についてはアドバイスができます。人が悩むときには、ある共通の「メカニズム」があります。そのメカニズムを知ることで、少なくとも、メンタル面でのトラブルを防ぎやすくなります。心の仕組みを知って、自分自身を上手にケアできるようになると、いつのまにか悩みが悩みでなくなっていくでしょう。

人の悩みには「問題があって悩むから、心が不調になる」のではなくて、「心が不調になるから、悩みや問題が生まれてくる」という面があります。多くのクライアントを見ていると、むしろ後者のほうが圧倒的に多いのです。今、頭を悩ませていることが子育てであっても、介護であっても、はたまた恋愛やキャリアであっても、それは変わりません。

今まさに奮闘されているワーママのみなさんに向けて、何よりも大事にしてほしいのは自分の心。「自分自身のケア」です。

心のメカニズムを知って、自分さえしっかり大切にできれば、たいていのことは乗り越えていけます。「自分自身のケア」がすべての土台であり、ここが崩れるとすべてが崩れて、いろいろな問題が生じてきてしまうんです。