シンプルでロジカルな文章は、実は理数系人間が得意とするところ。新発想の文章術をプロが指南。まずは長文との決別から始めよう。

小飼弾式文章術

ブロガー、プログラマー、投資家
小飼 弾

1969年生まれ。96年ディーエイエヌ有限会社設立、99年オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)CTO(取締役最高技術責任者)。著書に『小飼弾のアルファギークに逢ってきた』『弾言』など。

本は読みたくなったときが読みどきです。義務的に読む本ほどつまらないものはない。読書は快楽であり、遊びの一つです。ただ、そうした読書で得た知識や思考力は自然に自分の力になり、結果的に文章を書くときにも活かされます。

本への興味を高めるために、自ら情報断ちをして情報への飢餓感を煽ってもいいと思います。とくにテレビは情報のファストフードで、何も考えずに見ているとすぐ“情報メタボ”になる。テレビを見ないと決めるだけでも、本に手が伸びる機会が自然に増えるでしょう。

本は気の向くままに選べばいいと思いますが、大人になってからではないと読み込めない本の一つが古典です。

子どものころに『百人一首』を覚えた人は多いかもしれません。しかし、その内容を理解できたのは、おそらく大人になってからでしょう。古典を理解するには教養が必要です。古典を読むから教養が身につくわけではなく、教養があるから古典を読めるようになり、それがまた教養をつくるのです。

重要なのは、古典はテキストを切り取って読んでも、あまり意味がないという点です。古典は最初から古典であったわけではなく、著者が同時代に生きる人に向けて書いた作品です。つまり、どのような時代のどんなときに誰に向かって書かれたのかというコンテキスト(背景や文脈)を理解してこそ、はじめて古典を深く読み込み、自分のものにすることができるといえるのです。