シンプルでロジカルな文章は、実は理数系人間が得意とするところ。新発想の文章術をプロが指南。まずは長文との決別から始めよう。

小飼式文章術

ブロガー、プログラマー、投資家
小飼 弾

1969年生まれ。96年ディーエイエヌ有限会社設立、99年オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)CTO(取締役最高技術責任者)。著書に『小飼弾のアルファギークに逢ってきた』『弾言』など。

自分の書いた文章は、ヘタに手元に置いて熟成を待つのではなく、とにかく外に出すべきです。1次情報を発信する人と、それを加工する人が同一でなければならない理由はありません。一度外に出せば、誰かが読みやすくまとめてくれたり、その人なりの視点で他の情報と組み合わせてくれるかもしれない。ネット上でよく見かけるまとめサイトは、その典型例。極端な話、誰かがよりよくしてくれるなら、ツイッターで“ダダ漏れ”させてもいいのです。

書いたそばから外に出すと、自分もその文章について忘れることができます。もし自分で一次情報の発信と加工の2役をやるとしても、一度、忘れてしまうことには大きな意味があります。ふたたび自分の文章と出合ったとき、新鮮な気持ちで相対することができるからです。

手元に残して熟成を図ると、書いた当時の延長線上でしか思考は深まりません。しかし、いったん忘れてしまえば、「自分はこんなことを考えていたのか」と客観的に見つめ直すことができる。僕もよく自分の過去の文章を引っ張り出して再利用しますが、文章を一度手放して、1つの素材として捉え直しているからこそ再利用も容易になるのです。