実質年収は500〜600万円という院長も

【佐藤】大学病院の勤務医の給料が安いことはわりと知られている話でしょうが、今は開業医でも億以上稼ぐ人は本当に限られています。

佐藤優、片岡浩史『教養としての「病」』(インターナショナル新書)
佐藤優、片岡浩史『教養としての「病」』(インターナショナル新書)

2021年に公表されたデータ(第23回医療経済実態調査)によれば、開業医(一般診療所)の平均年収は約2730万円です。2730万円というのは平均値ですから、年収5000万円をこえている開業医も昔よりずっと少なくなっているのではないかと思います。

【片岡】個人病院の場合、院長が身銭を切ることがあるので、院長の実質年収が5〜600万円ということもあるようです。

【佐藤】医師は高給だと思われているけれど、意外とそうではないんです。名誉のほうが大きい職業だと思います。

【片岡】昔は「先生」と言ってもらえるからそれだけで納得していたとか、患者さんから感謝の気持ちをもらえるので自尊心を満たしていたという世界でした。

【佐藤】「お金が稼げるから」という形で子どもを医者にしようとする親たちは、医療界の現実を知らないわけです。

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