「投資」するのはお金だけではない

このように、未来の自分にいいことがあるように使うお金を「投資」と呼ぶわけですが、実はそれだけではなく、子どもたちには、時間やエネルギーも「投資」できるということを知ってほしいと思います。

自分の持っている時間やエネルギーを、今目の前にある楽しみや満足のために使っておしまいにするのではなく、未来の自分のために使うのも「投資」なのです。

こう聞くと難しそうに思えてしまうかもしれませんが、先ほどのワークの通り、小学生でも時間の投資は生活の中で誰もが自然に行っています。将来お医者さんになるために、今は算数の勉強を頑張るというのも立派な投資ですし、いかにもお勉強的なことでなくても、近所の公園で虫をつかまえて観察するなど、自分の大好きなことに夢中になる時間も投資だと言うことができます。

これらに共通するのは、すぐに何らかの効果が表れるわけではないけれど、最終的により大きな「いいこと」を期待できるという点です。続けていくうちにできることが増えたり、目標を達成できたり、心身によい影響があったりするわけです。

お子さんには「お金も時間も、なるべく『投資』に使えるとかっこいいよね」などと声かけしていただくとよいのではないかと思います。未来のためにお金や時間を使う感覚をつかんでもらえるといいですね。

小学生でもできる「100円投資」

発展として、実践で投資を理解する方法もあります。

「えっ、小学生で投資?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実はほとんどの証券会社では、保護者と一緒に手続きをすることで、子どもでも未成年口座を作って株の取引をすることができます。

『にゃんこ大戦争でまなぶ!お金のヒミツ』(KADOKAWA刊、監修:大河内薫、ポノス株式会社)
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株といっても大金が必要になるものばかりではなく、1株100円以下で買えるものもあり、証券会社によっては1株ずつ買うことも可能です。投資信託にも100円から購入できるものがあります。

投資信託はご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、子どもに説明するなら「証券会社がいろいろな株をつめあわせて作った、株のバラエティーパックのようなもの」と言えばわかりやすいでしょうか。ひとつの会社の株を買うのではなく、いろいろな株をまとめて買うことができるので、どれかひとつの株が値下がりしてもほかでカバーできる可能性が高いことがメリットです。

まずは投資の練習として、おこづかいで数百円分の投資信託を買ってみるのもおすすめです。

(構成=城戸千奈津)
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