教育科目に「お金」がない
そもそも、なぜ子どもにマネーリテラシーを持たせなければならないのでしょう? 厳しい言い方をすれば、今の大人たちが「投資とは何か」「円高・円安とはどういうことか」など、お金にまつわる基本的な概念を理解していないがゆえに、日本社会全体が苦しんでいるからです。
僕は30歳を超えてもお金のことを何も知りませんでした。税理士になってからも、お金のことがよくわかっていない人をたくさん見てきました。どうしてみんなこんなにもマネーリテラシーが低いんだろうと考えて、それは教育に「お金」の科目がないからだと思い至りました。
日本語を毎日使うから国語を勉強する。
数字を毎日使うから算数を勉強する。
それなのに、毎日使うお金のことを学ぶ機会はありません。
賃金は伸びず、銀行にお金を預けていてもお金が増えないどころか、各種手数料でむしろマイナスになってしまう時代、貯金だけで大切なお金を守り切ることは不可能です。こんな時代だから、お金のことをちゃんと勉強しておかなければなりません。
大人ももちろんそうですが、これから社会に出る子どもたちには特に、マネーリテラシーを身につけてもらいたい。そのためには、お金の話に拒否反応を起こさないよう、子どものうちから何となくでも触れていくことが大事です。
たとえば「投資」なら、用語そのものを説明できるようになるというよりは、ざっくりとしたイメージをつかみ、「自分にも無縁のものではない」という意識を持ってもらうことを目指してほしいと思います。
「お気に入りのペンケース」だって立派な投資
では、投資とは何なのか。いざ説明しようとすると戸惑ってしまう方もいらっしゃるかと思うのですが、子どもたちに向けて投資を簡単に説明するならば、「お金を支払ったことにより、未来で得をすること」です。
投資というとまずは株を連想する人が多いと思いますが、投資の対象は必ずしも株のような金融商品だけではありません。少し極端な例ですが、子どもの場合でたとえていうと「お気に入りのペンケース」だって立派な投資になりえます。それを買ったことにより勉強に向かう気持ちが高まって、結果的に勉強時間が増える子もいるでしょう。
「そうは言っても、うちの子、本当に理解できるかな……」と思われた方、心配いりません。実は、投資の概念を子どもに一発で理解してもらう簡単な方法があるのです。