うーん、これも悩ましい! 子どもに寄り添って、子どもの気持ちや選択を尊重したい。その場その場では、叱ったり罰を与えたりする方がラクだけど、長期的な子どもの成長から見ると、辛抱強く寄り添って、子どもの自律性を助けてあげた方が理想的な気がする。やり通せる自信はないけれど……。

「しつけ派」? 「のびのび派」?

どちらが子どもの将来のためになるのでしょうか?

実は、これまでの研究で「しつけ派」か「のびのび派」か、どちらかの方法に偏ってしまうと、子どもの将来に悪影響が出てきてしまうことが明らかになってきました。

できる子の親は自然と避けている子育て法

子どもに「ああしろ」「こうしろ」と支配的なプレッシャーをかけて、脅しや叱り、時には力ずくで子どもをコントロール。「ああできるように」「こうできるように」と子どものことを思えば思うほど、ついついがみがみと口を出してしまうのも親心です。

そうした「しつけ派」の子育ては、「コントロール型(controlling)」の子育てと呼ばれています。

この「コントロール型」の子育て。実は子どもの心や体にとって、多大なる悪影響につながることがわかっています。なぜそうなるのでしょうか。

人間の心は、根本的に「つながり」「できる感」「自分から感」を求めています。それらが満たされると人間の心が満たされて、良い精神状態でいられます。

しかし、「コントロール型」の子育てで子どもに「ああしろ」「こうしろ」と指図してしまえば、心の三大欲求の一つである「自分から感」をかき消すことになってしまいます。

そうなったときの子どもの反応には、大きく分けて2つのパターンがあります。

一つはプレッシャーに抑え込まれながら我慢して従うパターン。このパターンは、親のコントロールを嫌々ながらも心の中で我慢して受け入れているので、「内面化(internalization)」と呼ばれています。子どもが親のコントロールを内面化したときは、不安症やうつ病、摂食障害などのリスクが高まってしまうことが知られています。

もう一つが親のコントロールを拒否するパターン。これは、親のコントロールを受け入れないので、「内面化」に対して、「外面化(externalization)」と呼ばれています。そして、親のコントロールを子どもが外面化すると、子どもの感情のコントロールが難しくなったり、反社会的な行動につながります。

つまり、どちらのパターンでも、子どもの将来には悪影響になるのです。このように、「しつけ派」の子育てをやり過ぎると、子どもの心や体、社会的リスクにつながってしまうことが最新の研究で明らかになってきています。

児童虐待
写真=iStock.com/solidcolours
※写真はイメージです

良かれと思ってやりがちな最悪の子育て習慣3つ

「しつけ派」の子育てをやり過ぎてはいけないことがわかりました。

では、具体的にはどういうところに、気を付けていったらいいのでしょうか?

まずは、コントロール型子育てには3つの典型的なパターンがあることを押さえておきましょう。