アルジェリアとフランスの関係は日韓関係に似ている

年金制度改革は、不可避だった。フランスは医療政策が成功して平均寿命も日本ほどでないが延びており、年金受給年齢を62歳から64歳に遅らせるのは当然だ。フランス人は早く退職して年金生活に入るのが夢なので反発が強かっただけだから、大統領の不手際とはいえない。

黄色いベスト運動は、車両向けの燃料税の引き上げなど環境対策の強化に地方の住民などが反対した。米国でのプアホワイトと移民の対立が左右の深刻な分断を招いているのと似た問題だった。指導者がいない自発的な運動というのも厄介だった。

これらに比べると、今回の騒動は、北アフリカなどからの移民二世や三世(多くがイスラム教徒)の不満が爆発したが、フランス社会の根幹を成す人々でないから、深刻さは相対的に小さかったといえる。

過去には、フランスの植民地だった北アフリカのマグレブ3国(アルジェリア・モロッコ・チュニジア)を、本土の一部にしようとする流れもあった。そうした歴史を踏まえると、アルジェリアとフランスの関係は単純な宗主国と植民地の関係でなく、英国にとってのアイルランドとか、日本にとっての韓国や台湾に似た存在だ。

地中海流域地図
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アルジェリア系が同化できなかった理由

アルジェリア系には、1954~62年の独立戦争でフランス側についた人の子孫とか、白人でもアルジェリアに何世代も土着していた人もいる。人々の容貌もそれほど違わない。たとえばフランスを代表する美人女優のイザベル・アジャーニの父親もアルジェリア人だ。

フランスでは、学歴があれば人種を問わず、政治家でも高級官僚でも実業家でもなんでもなれる。しかし、アルジェリア系は独自のコミュニティを形成していたり、子だくさんだったり、イスラム教徒であったりすることが同化を妨げ、教育でも劣る。

フランスはライシテ(非宗教性)の国だから、公共の場での宗教的な行為や服装が厳しく排除されており、学校ではスカーフを被れないことなどが、イスラムの厳しい戒律から女性を守ることにつながっている。

また2015年、ムハンマドを風刺した週刊新聞「シャルリー・エブド」がイスラム過激派テロリストに襲撃された事件が大規模なデモ活動に発展したように、宗教批判や風刺の自由は強く擁護されている。

テロ対策では、過激派を排除するために、フランス国籍があっても入国を認めないとか、国籍を剝奪するとか、かなり乱暴な対策も取っており、決して無防備とは言えない。