手帳と時間の使い方に関するアンケートを実施。結果を時間達人が解説する。
ビジョンがあれば結果に差が出る
自分自身のミッションやビジョンを持っている人と、ただ目の前の仕事をこなすだけの人では、仕事の成果やその対価としての収入に大きな差が出る。ミッションとは、人生の羅針盤となるような究極の目標のことだ。そのことに気づいてから、私は自分のミッションをプリントアウトして手帳に入れ、持ち歩いている。
ミッションを設定することは、日々の行動にも影響する。ミッションを持っていることの最大のメリットは、自分の進むべき道を常にチェックできることだ。こうしておけば、失敗してくじけそうになったときでも、軌道修正して心穏やかに日々を送ることができる。
「どのような1年にするか、その年の目標を立てている」「月間目標など、月単位のスパンで短期目標を立てている」と答えた人は、「どちらかというと」も含めると年収1500万円以上でそれぞれ約45%を占めているのは興味深い。この結果からわかるのは、1500万円以上の人には3年後、5年後の「自分が到達したい目標地点」がイメージできていて、その目標をクリアするために「この1年をどう過ごすべきか」「この1カ月にすべきことは」という短期目標を設定しているということだ。これに対して年収400万円台の人は、目の前の仕事に忙殺されてしまい、中長期の目標など「考えているヒマがない」という姿が浮かぶ。
もちろん、究極の目標など簡単に見つかるものではない。しかし、日々考え続けることが大事なのだ。まずは自分にとって大切なこと、やりたいことを手帳に書き出してみる。それを「健康」「お金」「人間関係」「仕事」「家族」などにグループ化していく。すると、自分がどんな事柄に関心を持ち、どんなゴールを目指しているかが見えてくるはずだ。この作業によって自分の頭の中が鳥瞰でき、3年から5年ぐらいの期間にすべきことが明らかになる。
最初から「自分のミッションを設定するんだ」と意気込んでしまうと、完璧につくろうとしてなかなか着手できないものだ。まずは気軽に考えて、わからないなりに現時点での目標を紙に書いてみるといい。違和感があったら何度でも修正する。要は、現時点での自分の頭の中を鳥瞰できればいいのだ。
「いまのキャリアとは別に仕事の最終目標を設定している」という問いに「あてはまる」と答えた人が1500万円以上で14.5%を占めるのに対し、400万円台の人では5.1%にとどまるという結果は、ミッションを設定することの大切さを象徴しているといえるだろう。
ビジョンを持っている人と持っていない人では、仕事のやり方にもモチベーションにも差が出てくる。ビジョンから逆算し、「いま自分にはこういうスキルが必要だ」「この仕事は、将来これをやるために、いまやっておくべき」と考えられるようになるのだ。やらされ感でやった仕事と、一生懸命やった仕事では、結果が違うのは当然といえるだろう。