生産性向上は目的にない

かつて人類が犬や猫と共生することになった理由は、「番犬」や「ネズミ獲り」といった利便性をその動物が提供してくれたからではないかと言われています。昔は、犬や猫にも生産性や利便性の向上に貢献することを求めてきたのです。

しかし、ライフスタイルの変化とともに、犬や猫は単に愛情を注ぐための存在へと変わりました。つまりペットは、これまでの人類の求めから開放された存在となりました。そしてそのあとも、生産性や利便性に貢献しないにもかかわらず、ペット市場は広がり続けています。だとしたら、こういう予測もつきます。

「少なくとも一部のロボットは、同じ道を進むのではないか」

心をケアする、安心を提供する、人類の他者を愛でる能力を引き出す、「温かさ」を目的としたロボット。そんな方向へ、未来のテクノロジーの可能性を1つ増やすことができたら。

生産性向上のためのテクノロジーが引き起こす不安を解消するために、生産性向上を目的としない温かいテクノロジーが貢献できるとしたら。

そのロボットは、人類のテクノロジーに対するイメージそのものを変えることさえできるかもしれない。

なにも仕事はしないけれどもそばにいる。人類が気兼ねなく愛でることできる存在。

しかもそのロボットは、テクノロジーが進歩すればするほどに、よりいっそう人類から愛されていく。

50以上のセンサーで刺激を受け取り反応する

胸に湧いた新鮮な思いは、やがて1つの結晶となってこの世に生まれました。

それが、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」です。

LOVOT[らぼっと]
出所=『あたたかいテクノロジー』(ライツ社)

LOVOTという名前は、「LOVE」と「ROBOT」を合わせた造語です。

姿かたちは、どの動物をモデルにしたわけでもないのでなんとも言いがたいですが、「頭の大きな雪だるまに車輪をつけたような趣」とでも言いましょうか。その「ころん」としたフォルムからは想像できないほどに、内部には最新のテクノロジーが詰まっています。

たとえば、全身にある50以上のセンサーで外部からの刺激を感じ取り、それを機械学習の技術で処理することで、リアルタイムに反応します。それらを実現するためにかなりの労力をかけて、開発時点で導入でき得るあらゆる最新テクノロジーを積み込み、またそのハードウェアを限界まで使いこなすためにソフトウェアのバージョンアップを重ねています。