少子化対策の費用対効果の検証を

なぜ、少子化対策の財源を同じ子育て世代から徴収するのか。可処分所得が減っては逆効果ではないのか。そうした不満はもっともでしょう。高校の授業料を支援する「高等学校等就学支援金制度」も所得要件があり、その目安は年収910万円(※)。高年収層を中心に負担が大きくなっている世帯がすでに一定数あり、子育て世代間での不公平感が高まっています。高所得世帯は多くの税金を納めているにもかかわらず、子育て支援の対象から外されてしまう。そこに不満を持つのは当然と言えるでしょう。

(※)両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人(16歳以上)、中学生一人の子供がいる世帯(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/1342674.htm

今後も、少子化への対策は実施され、その負担が増えることは避けられません。少子化は国家存続の危機ともいえる由々しき事態だからです。

ブロックに文字 教育資金
写真=iStock.com/Seiya Tabuchi
※写真はイメージです

国民から政府の対策に不満が生じる要因には、前述の不公平感のほかに、費用対効果の問題があります。月に1万円の児童手当が増えたとして、それが少子化対策として機能するのか、疑問に思う人も多いはずです。

いま政府に求められることは、それぞれの対策の効果を細かく検証すること。そして、その検証・結果に応じて、制度の改正や廃止が柔軟にできる体制を整えることです。

年約3兆円半ばの増額という「異次元」の財源規模だけでなく、成果が期待できる対策が優先的に実施されることが望まれます。

(構成=ファインナンシャルライター 瀧健)
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